2011 Fiscal Year Annual Research Report
GPS受信機網を利用した電離圏擾乱のスケール間結合と衛星測位への影響に関する研究
Project/Area Number |
22740326
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
津川 卓也 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究所・宇宙環境インフォマティクス研究室, 主任研究員 (20377782)
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Keywords | 電離圏 / GPS / 全電子数 / 移動性電離圏擾乱 / プラズマバブル / シンチレーション / ロック損失 / ROTI |
Research Abstract |
(1)国内外のGPS受信機データ収集、及び全電子数データベースの拡充 国内外のGPS受信機網データを取得し、全電子数(TEC)データベースの拡充を行った。また、日本上空においては、過去10年以上から現在までの全電子数、電離圏擾乱指数(ROTI)、ロック損失率の2次元マップを算出・データベース化した他、これらのリアルタイム観測を開始した。これらのデータはWEBで公開し共同研究を進めた。 (2)TECデータを利用した移動性電離圏擾乱(TID)の統計的特徴に関する研究 上記のTECデータを利用し、日本及び欧州上空の中規模TIDの統計解析を行った。その結果、中規模TIDは、昼間に現れるものと夜間に現れるものの2種類に分けられ、それらの伝搬方向、季節依存性、緯度依存性などの性質が異なることが明らかになった。 (3)TECデータ及び大気光データを利用したプラズマバブルとGPSロック損失の研究 TEC、ROTI、GPSロック損失(LOL)率、及び大気光データを利用し、プラズマバブルの大規模な構造と、ROTI及びLOL率の関係について調べた。その結果、LOL率の増大は、大気光減光とROTI増大領域と一致していた。LOL発生の閾値は、ROTIが1.0 TECU/minであることがわかった。 (4)リアルタイム2次元TEC観測による地震後の電離圏擾乱の研究 リアルタイム2次元TEC観測により、2011年東北地震後の約7分後から津波波源を中心とした同心円状のTEC変動を世界で初めて捉えた。第一波は水平波長1,000km以上、3.5km/sで伝搬し、その後次第に波長が短く伝搬速度が遅い波が現れた。一方で、特徴的なROTIやLOL率の増大は観測されなかった。非静水圧中性大気モデルによるシミュレーションとの比較から、このTEC変動は音波及び大気重力波によるものであることがわかった。
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Research Products
(9 results)