2011 Fiscal Year Annual Research Report
大型有孔虫を用いたグレートバリアリーフにおける後氷期の海水準変動の高精度復元
Project/Area Number |
22740339
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤田 和彦 琉球大学, 理学部, 准教授 (00343377)
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Keywords | 大型有孔虫 / 海水準変動 / 後氷期 / 最終氷期 / 古水深 / グレートバリアリーフ |
Research Abstract |
今年度は、グレートバリアリーフ(GBR)陸棚斜面のHYD-02測線の40A、41A、43A、47A地点の計90試料の有孔虫分析を進めた。コア写真より岩相・堆積構造・化石の有無を確認した後、堆積物の分離処理を行い、粒度組成(%)と含泥率を求めた。また、>2.00mm径、2.00-0.50mm径の堆積物試料から有孔虫分析を行い、産出個体数(#/9)、群集組成(%)を明らかにした。そして得られた化石群集データとGBRの現世有孔虫群集データとを比較して、古水深を求め、古海面を復元した。また、優勢種については画像解析装置を用いて、形態形質を測定し、各層準における形態変異や殻の保存度を求め、堆積環境の変化を検討した。 HYD-02A_40Aと41Aのコアは掘削地点が近く、得られた結果は類似する。粒度組成より、下位は泥の比率が高く、次第に中粒砂や細粒砂の比率が増えていき、上位の層準では礫の比率が高くなる傾向がみられる。有孔虫分析より、>2.00mm径の試料では主にOperculina sp.が産出し、上位の層準ではAlveolinellaやCellanthusなどが産出する。2.00-0.50mm径の堆積物試料では全体的にOperculina sp.とAmphistegina spp.を優占する。特に下位から上位にかけてOperculina sp.(smooth septa type)の比率が減少し、Amphistegina lessoniiの比率が増加する。また上位ではOperculina sp.(elevated septa type)が産出しない一方、BaculogypsinaとCalcarinaが多く産出する。浮遊性有孔虫の比率は、下位の層準で高い。これらの層位変化は相対的な海面低下を示唆する。 地点HYD-02A_43Aと47Aのコア下部では、最下部でAmphistegina spp.やOperculina sp.を優占とする群集がみられ、上位にいくにつれてBaculogypsinaの比率が増加する。Baculosypsinaの遺骸は現世の潮間帯に多く分布することから、この種の多産は当時の海水面の位置を示すと考えられる。今後Baculogypsinaが多産する層準を多くのコアで追跡し、最終氷期以降の海水準変動を復元するためのデータを追加していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度中に完了する予定であった有孔虫群集解析と年代測定が次年度前半までかかることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
7月に開催されるポストクルーズミーティングに照準を合わせて,分析を急ぎ、データをまとめていく。来年度後半は、論文作成と学会発表を行っていき、当初の予定通り計画を達成していく。
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Research Products
(6 results)