2010 Fiscal Year Annual Research Report
岩石の風化における化学的過程と物理的過程の相互作用
Project/Area Number |
22740345
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横山 正 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60403101)
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Keywords | 物理風化 / 化学風化 / 溶解 / 砂岩 |
Research Abstract |
岩石の風化は,化学的過程(化学風化)と物理的過程(物理風化)の相互作用の結果として進行する.砂岩は鉱物粒子や岩片が固結して構成されており,その風化は,[1]粒界の溶解(化学風化),[2]保持できなくなった粒子の分離(物理風化),というプロセスの繰り返しで進行すると考えられる.全体の風化における化学風化と物理風化の寄与を比較するために,フォンテーヌブロー砂岩(フランス産,F砂岩)とベレア砂岩(アメリカ産,B砂岩)を用いて,風化実験を行った.F砂岩は粒径約0.3mmでほぼ100%石英からなり,B砂岩は粒径約0.2mmで石英約90%,その他(長石、粘土等)約10%からなる.B砂岩と比べると,F砂岩の方が脆く、粒子が分離しやすい.これらの砂岩試料を整形して純水中に浸し,波や水の流れの効果を模擬するために反応容器を振とうしながら(18rpm),25℃で2ヶ月間反応させた.試料からの溶解(化学風化)により,反応時間と共に溶液中の溶存元素濃度が増加した.この溶解量を求めるために,溶液をときどき採取してSi,Ca等の溶存元素濃度を測定した.また,試料からの鉱物粒子の分離(物理風化)により、反応時間と共に容器の底に落ちている粒子の量が増加した.この粒子の分離量を求めるために,反応終了後に粒子を回収して秤量した.その結果,2ヶ月間の砂岩の単位外形面積当たりの元素の溶解(化学風化)量は、F砂岩で0.01mg cm^<-2>,B砂岩で0.3mg cm^<-2>であった.また,粒子の分離(物理風化)量は,F砂岩で0.3mg cm^<-2>,B砂岩で0.1mg cm^<-2>であった.したがって,粒子が分離しやすいF砂岩については物理風化の寄与が大きく,粒子が分離しにくいB砂岩については化学風化の寄与が大きいことが明らかになった.
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Research Products
(1 results)