2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体結晶中のコヒーレントフォノン測定と制御に関する新規手法の開発
Project/Area Number |
22750022
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坪内 雅明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (40392039)
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Keywords | 応用光学 / 化学物理 / 原子・分子物理 / 光源技術 |
Research Abstract |
固体結晶中のコヒーレントフォノンの実時間観測及びその制御を目指して、本年度はまず光学励起・テラヘルツ光検出時間分解分光装置を構築し、シリコン単結晶の伝導電子ダイナミクス観測への適用を行った。 波面傾斜させた800nm光をLiNbO_3プリズムに照射し、光整流法によってパルスエネルギー10nJ/pulse、電場強度10kV/cm、中心周波数0.6THzのTHzパルス光を得た。発生したTHz光と光学励起光の遅延時間を変えながらサンプル結晶(シリコン単結晶t=0.28mm)に同軸で照射し、サンプルから透過したテラヘルツ光の電場波形を電気光学効果により測定した。 波長800nmの光学励起光をシリコンに照射した場合、結晶内の電子が伝導帯に励起され結晶表面がプラズマ化される。数10MW/cm^2程度の励起光照射により、続いて照射されるテラヘルツ光の透過及び反射に顕著な影響を与えることが見いだされた。特に反射テラヘルツ光に対する位相シフトに特異な励起光強度依存性が見られ、現在その変化を介在するダイナミクスの検討を行っている。 本研究で構築した手法では半導体結晶内の伝導帯電子によるプラズマがTHz光に与える透過、吸収、反射それぞれの特性を簡便にかつ詳細に観測することが可能となり、今後の光物性研究への波及が期待される。 また、本研究の目的であるテラヘルツ光励起によるコヒーレントフォノン励起と制御のためには、現在より高強度のテラヘルツパルス光が必要となる。高強度光源の開発のためにテラヘルツ光発生デバイスを新規に設計し現在その製作も時間分解分光実験と平行して行っている。
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