2010 Fiscal Year Annual Research Report
内部空間を有する三次元分子を基盤とした分子集合体の精密設計と機能開拓
Project/Area Number |
22750113
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
富永 昌英 徳島文理大学, 香川薬学部, 講師 (60361507)
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Keywords | 有機化学 / 超分子化学 / 合成化学 / 自己組織化 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究は、形状やサイズの異なる精密設計された三次元中空分子群を高効率で合成し、アルキル鎖などの多様な側鎖を導入する。これを基盤として、水素結合や疎水性相互作用を活用して自己組織化させることにより、フィブリルやベシクルなどの分子集合体の構築と構造制御を目的とする。ロッド、パネル型分子、環状化合物からの分子集合体にはない特異な構造や機能・物性を開拓する。また、集合体の三次元分子の内部空間へのゲスト分子の認識・カプセル化を通じて、分子集合体の構造変化やダイナミクス、キラル誘起・増幅、包接ゲスト間の光・電子エネルギー移動、液晶・ゲルの物性の改変に取り組み、機能性マテリアルの開発へと展開する。 本年度は、三置換アダマンタン誘導体の二量化によりかご型構造を構築した。単結晶X線構造解析により、ナノサイズの三次元中空構造であることが明らかになった。次に、表面に長鎖アルキル鎖を有するアミド基を導入した。紫外可視光吸収スペクトル測定の結果、CHCl_3中と比較してCHCl_3/MeOHおよびCHCl_3/Hex中では、ピークが長波長側にシフトしていることが分かった。また、走査型電子顕微鏡の測定により、ヘキサンのような非極性溶媒中ではフィブリルが生成することが示された。これは、アミド基の多点の分子間水素結合の形成によるものと思われる。また、メタノールなどの極性溶媒中では、溶媒効果により球状の集合体を形成していることが分かった。透過型電子顕微鏡測定の結果、単一分子膜からなるベシクル構造であった。すなわち、これは溶媒によってフィブリルとベシクルの構造体を作り分けられることを示している。
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