2011 Fiscal Year Annual Research Report
二重遺伝暗号と分割遺伝暗号を用いた人工翻訳システムの創成
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22750145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 佑樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (70570604)
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Keywords | 遺伝暗号のリプログラミング / 翻訳合成 / ペプチド / ペプチドライブラリー / リボザイム / 非天然アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究は新機軸の人工遺伝暗号を用いた翻訳合成系の創成を目的とする。昨年度に達成した「二重遺伝暗号」を用いた合成系に加え、本年度には普遍遺伝暗号表において単一のアミノ酸によって占められたコドンボックスを人工的に分割することを行った。この概念を「分割遺伝暗号」と名付け、実際にこの分割遺伝暗号を用いる新規人工翻訳合成系の開発にも成功した。この分割遺伝暗号では、コドンボックスを二つに分割し、一方に元々の天然アミノ酸を指定し、他方には別の非天然アミノ酸を定義することが可能である。原理上、この翻訳システムでは、天然の20種類のアミノ酸に加えて、9種類までの非天然アミノ酸を伸長反応で同時に利用可能である。 さらに、二重遺伝暗号と分割遺伝暗号の両方を同時利用した新規人工翻訳合成系の実証も行った。これにより20種類の全天然アミノ酸+9種類以上の改変開始残基+9種類の非天然アミノ酸を同時に一つの翻訳系で利用することが原理的に可能となった。 本研究成果は、生命活動を支える遺伝暗号を根底から書き換えるという視点、及び翻訳の生化学的観点から学術的に非常に意義深い。さらに、本研究で開発した新規人工翻訳合成系をペプチドライブラリー合成に応用すれば、従来よりも幅広いシークエンススペースをカバーした化合物ライブラリーを容易に構築することができ、新規生理活性ペプチドを探索する上で大きなメリットが期待できる。
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