2010 Fiscal Year Annual Research Report
高度な自己集積能を有する導電性ポリマーの開発と有機トランジスタへの応用
Project/Area Number |
22750172
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾坂 格 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80549791)
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Keywords | 高分子合成 / 高分子機能・物性 / 有機トランジスタ |
Research Abstract |
半導体ポリマー薄膜中におけるキャリア輸送は、主にポリマー主鎖間のπ電子軌道の重なりにより決定されるため、高移動度の達成には、ポリマーの分子間相互作用を高めて、より強固なπスタッキング構造を構築することが鍵である。(1)π電子系の広い縮合環(ヘテロアレーン)を主鎖に導入することや、(2)ドナー・アクセプター型構造の導入は、半導体ポリマーの分子間相互作用を高めることができるため、高移動度材料創出に向けて非常に有用なアプローチである。(1)としてナフトジチオフェンを有する半導体ポリマーを合成した。合成したポリマーは、非常に高い結晶性(強いπスタッキング構造)を有することが分かり、有機トランジスタにおけるキャリア移動度は、0.54cm^2/Vsとポリマー材料としては極めて高い値を示した。さらに、3つのナフトジチオフェン構造異性体を有するポリマーをそれぞれ合成した。これらのポリマーの電子物性や薄膜構造とトランジスタ特性の間には非常に強い相関があることが分かった。(2)として、ベンゾビスチアゾールを主鎖に有する新規半導体ポリマーの開発を行った。これらのポリマーでは、πスタッキング間距離が短くなることが明らかとなり、ポリマーを用いたトランジスタ素子は~0.3cm^2/Vsと半導体ポリマーとしては非常に高い移動度が達成された。また、素子は大気下で保存しても安定であり、特に、ベンゾビスチアゾールを有する半導体ポリマーでは、高湿度下においても特性が長期間保持できることが明らかとなった。
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Research Products
(23 results)