2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属をベースにした新規酸素貯蔵材料の開発とその応用展開
Project/Area Number |
22750181
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本橋 輝樹 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00323840)
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Keywords | 酸素貯蔵材料 / 遷移金属酸化物 / マンガン酸化物 / ペロブスカイト / 酸素貯蔵能 / 酸化還元触媒 / 酸素濃縮 / 燃料電池 |
Research Abstract |
本研究では、「酸素貯蔵材料」の新規物質開発とその応用展開を目的とした。酸化還元反応の精密制御を可能にする酸素貯蔵材料に関しては、現在CZ(セリア・ジルコニア固溶体)が自動車排ガスの燃焼触媒として広く実用化されている。酸化還元触媒、酸素濃縮、燃料電池の電極材料など様々な酸素関連分野への応用を実現するには、優れた酸素貯蔵能を持つ新規材料の開発が強く望まれる。本研究ではマンガンなど遷移金属の酸化物に着目し、顕著な酸素吸収放出特性を示す材料の開発研究を行った。さらには、得られた新規酸素貯蔵材料の新しい酸素関連分野への応用展開を検討した。以下に主な研究成果を示す。 ・我々が独自に開発したマンガン系酸素貯蔵材料BaYMn_2O_<5+δ>の酸素吸収放出について、熱分析法を用いた速度論研究を行った。様々な温度での反応率αの経時変化を解析したところ、酸素吸収放出反応は表面反応律速であることが明らかになった。反応の活性化エネルギーE_a、は酸素吸収反応および放出反応についてそれぞれ0.39,0.80eVであり、小さなE_a値が本物質の顕著な酸素吸収放出特性の起源である可能性が示唆された。 ・酸素欠損ペロブスカイトの一種であるブラウンミラーライト型Ca_2(Al_xMn_<1-x>)_2O_<5+δ>において優れた酸素貯蔵能を発見した。x=0.50付近の化学組成において、温度・ガス雰囲気に応じて多量の酸素を高速可逆に吸収放出することを見出した。酸素貯蔵能(酸素吸収量)は約3wt%であり、この値は従来材料CZの理論最大値2.8wt%を凌駕する。本物質は資源的に豊富な元素のみで構成されることから、酸素濃縮など多量の酸素貯蔵を必要とする分野での応用が期待される。
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Research Products
(3 results)