2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750201
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
矢島 知子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (10302994)
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Keywords | 含フッ素ポリマー / 撥水性 / 光ラジカル反応 |
Research Abstract |
含フッ素ポリマーは、耐光性、耐薬品性、撥水・撥油性に優れ、我々の生活に欠かすことのできない材料であり、その開発は重要な課題となっている。本研究は、申請者の開発した光ペルフルオロアルキル化反応を基盤として、新しい、光反応による含フッ素高分子化合物の創製を目的とした。 ジエンとジヨードペルフルオロアルキルとの反応においては様々なジエン、ジヨードペルフルオロアルキルの組み合わせにおいてポリマー化反応が進行し、新規含フッ素ポリマーの合成法と成り得ることを明らかとした。また、NMR実験によりその反応機構について検討し、まずジエンとジヨードペルフルオロアルキルが1:1で反応しモノマーを形成した後、縮合重合的に反応が進行することを明らかとした。この反応は縮合重合的に反応することから反応時間によりポリマー鎖長を制御することができ、分散度の小さなポリマーが得られる。反応はヨウ素移動型で進行することから生成物はヨウ素を含むが、塩基処理によるオレフィンへの変換、シラン存在下での水素トラップ型の反応にも成功している。また、得られたポリマーの撥水性の評価を行い、フッ素含量が小さいにもかかわらず高い撥水性を示すことを明らかとした。 このように、本研究では新規光ラジカル反応による長鎖を有さず、かつ長鎖をもつ化合物と同様の撥水性を有する含フッ素ポリマーの合成法を確立した。この手法は含フッ素モノマーの合成を必要としないことから、簡便に機能化した含フッ素ポリマーの合成法と成り得、今後様々な応用研究へと発展が可能であると考えられる。
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