2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ細線中アンドレーエフ束縛状態の量子コヒーレント操作
Project/Area Number |
22760018
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西尾 隆宏 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 基礎科学特別研究員 (30565271)
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Keywords | インジウム砒素ナノワイヤ / 超伝導 / トランズモン / 量子細線 / アンドレーエフ束縛状態 / 量子ビット / マイクロ波 / ジョセフソン接合 |
Research Abstract |
本年度は量子コヒーレント操作のための高周波測定装置の整備を行い、量子ビットとしての動作確認を目指した。まず、既存の希釈冷凍機にマイクロ波用の超伝導線信号ラインを追加した。その際に熱ノイズの低減を目的として減衰器とアイソレータ、信号増幅用に低温アンプを追加し、5~8GHz帯の-100dBm程度の微弱な入力信号に対しても試料の応答信号を検出できるように装置を改良した。次に量子ビット動作確認のため、トランズモン型のナノワイヤ超伝導量子ビットの作製法を確立した。トランズモンは電荷型量子ビットを改良した構造であり、電荷揺らぎ効果の抑制が可能となっている。特に、コプラナウェーブガイドと直接結合させて検出する方法であることから、従来のSQUID検出測定と比べて簡便な構造とプロセスで済むメリットがある。 作製したトランズモン型ナノワイヤデバイスを低温(40mK)で透過測定し評価を行った。未だ超伝導量子ビットの動作に必要な共鳴吸収スペクトルの観測には至っていないものの、超伝導から常伝導状態への透過スペクトル変化を観測した。量子ビット動作の重要なパラメータとなる超伝導電流は、電極間隔距離に非常に敏感であるので、今後はそれらの調整を行いながら検出を目指したい。この他、InAsナノワイヤ内での表面散乱の影響が指摘されていることから、p型のInPで伝導層を保護したコアシェルInAsナノワイヤのデバイス作製も行っている。これまでに電界効果移動度の向上を観測しており、材料置き換えによる信号検出も期待している。
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