2011 Fiscal Year Annual Research Report
結晶中での非線形エネルギー局在効果が創り出す動的構造変化の新モデルの構築
Project/Area Number |
22760066
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 祐介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10403172)
|
Keywords | 非線形格子力学 / 分子動力学 / 非線形振動 |
Research Abstract |
本年度実施計画に基づいて研究を行い以下の成果を得た。 前年度に引き続いて2次元結晶系であるグラフェンにおけるILMについて、グラフェンに圧縮ひずみ、引っ張りひずみを付与した場合の安定性解析を体系的に実施した。特に不安定モードの成長率についてそのひずみ依存性を詳細に解析した。その結果、系に生成するILMの振幅に対応してそのILMの安定度が交互に変化することが明らかになった。この交互に現れる2つの領域においては安定度のひずみ依存性が大きく異なることが示された。具体的には一つの場合には引っ張りひずみにおいて最も不安定な擾乱モードが出現し、もう一つでは圧縮ひずみにおいて最も不安定な擾乱モードが出現することが明らかになった。あわせてそれぞれの場合の不安定モードの構造は大きく異なり、せん断的な動きを引き起こす場合と、2次元的な振動を引き起こす場合があることが明らかになった。このようなことからエネルギーが結晶の狭い領域に集中した場合の原子の振る舞いは周辺の原子配置によって決まる圧縮および引っ張りひずみの状態に依存して大きく変化することが示唆される。 また曲率を与えたグラフェンにおけるILMの構造探索も体系的に行った。これによりILMの構造及び安定性が曲率によって大きな変化を受けることを示唆する初期的な結果を得た。 一方でILMに上記解析で得られた不安定モードを付与してその不安定化過程を直接シミュレーションで解析した場合、ILMが移動を始めることはないことが確認された。これについては別の観点からより包括的に解析を進めていく必要があることが示唆される。
|