2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760148
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅野 望 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40529046)
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Keywords | エタノール / 素反応 / 着火制御 |
Research Abstract |
エタノール低温酸化反応機構の初期過程において重要な反応のひとつであるCH_3CHOHラジカルと酸素分子の反応について、レーザー光分解/近赤外波長変調吸収分光法による反応計測を行った。前年度までに開発した計測装置に温度調節機構を追加し、室温から500Kにおける上述反応の速度定数を計測した。反応速度定数は若干の負の温度依存を示し既往のGrotheerら(22nd Int. Sym. Combust. 1998, 963.)の報告と概ね一致したが、彼らが報告した高温域での速度定数の増加は確認されなかった。量子化学計算とRRKM/支配方程式解析により反応速度定数、生成物分岐比の理論計算を行った所、実験結果を良く再現した。理論計算結果より、反応速度定数の圧力依存は小さく反応分岐比は10気圧以下ではアセトアルデヒドとHO 2ラジカルへ解離する経路が支配的であり、高圧ではCH3CH(OH)OOラジカルへの安定化と競合することが明らかになった。これらの圧力依存性はCH_33CH(OH)OOラジカルからアセトアルデヒドとHO 2ラジカルへ直接脱離する協奏反応の遷移状態が特異的に低いことに起因する。本反応がアルキルラジカルと酸素分子の反応に比べ過酸化ラジカル生成分岐比が低いため後続する低温酸化反応が抑制され結果、エタノールの圧縮着火性が炭化水素に比べ低いと考えられる。
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Research Products
(3 results)