2010 Fiscal Year Annual Research Report
希土類ドープによる近赤外ふく射機能性釉薬の開発と高効率熱光起電力発電への展開
Project/Area Number |
22760158
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
熊野 智之 神戸市立工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (80435437)
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Keywords | 希土類ドープ釉薬 / セラミックコーティング / 放射率制御 |
Research Abstract |
平成22年度は、表面が滑らかで均一性に優れた希土類ドープ釉薬を基板表面へ形成することを目的とし、「希土類ドープ釉薬のコーティング条件の最適化」に重点をおいて研究を行った。具体的には、基板である多結晶アルミナ板(15×15mm、厚み1mm)に硝酸エルビウム水和物をドープした石灰釉・水の懸濁液を塗布する方法について検討を行った。一般的な施釉方法である刷毛やスプレーを使った手作業では塗り斑が出来やすく、均一性および再現性に問題があった。そこで本研究では、それらの問題を解決し、さらに0.1mm以上の領域で膜厚の定量的な制御が可能な『基板埋没法』という独自の施釉方法を考案した。これは、基板を設置した金属枠内を上記の懸濁液で満たすことにより、基板を所定の深さで埋没させ、乾燥させる方法である。基板埋没法によりコーティングした釉薬は、刷毛やスプレーを用いて作成した時よりも再現性、表面の均一性において優れていることを表面形状の測定により確認した。次に、エルビウムのドープ濃度を変えて試料を作成し、1000℃における近赤外領域の放射率を計測した。その結果、懸濁液の組成や粘度の変化が、形成される膜の性状に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。特に、ドープ濃度が低い条件では「エルビウムがドープされた釉薬」となるが、濃度が高い場合には、「釉薬とは全く異なる性状の膜」が形成されるという大変興味深い結果が得られた。また、ドープ濃度と近赤外放射率との関係も実験的に明らかにされた。平成23年度については、そのような結果について、物理化学的な裏付けを詳細に研究していく予定である。
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Research Products
(2 results)