2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形超音波成分の検出によるボルト-ナット締結状態の評価に関する研究
Project/Area Number |
22760293
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
福田 誠 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 助教 (50507671)
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Keywords | 非線形音波 / 二層型圧電振動子 / ボルト締結 / 軸力 / トルク / 有限振幅超音波 / 2次高調波 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
著者らは,非線形超音波の一つである2次高調波を検出するための二層型圧電振動子を用いたシステムを構築し,ボルト締結時に発生する2次高調波検出について検討してきた.ボルト締結前後で10dBだけ2次高調波検出量が増加する結果が得られている.しかし,これまでに用いた方法ではボルトの頭部から超音波を送受波するシステムのため,ボルト頭部が機械構造物中に隠れている場合などでは評価が困難となる.そこで,今年度はナットから超音波を送受波する方法を提案し,ボルト締結状態評価システムへの可能性を検討した. ボルト締結前(軸力0kN)と,ボルト締結後(軸力20kN程度)で受波波形とそのスペクトルをそれぞれ比較すると,ボルト締結前後で2次高調波が10dB程度増加していることが確認できた.ボルト締結前では,ボルト-ナットのネジ山間の接触面が十分に開いている状態であり,2次高調波は基本波に比べて-30dB程小さい値しか発生していない.一方,ボルト締結後では,ボルト-ナットのネジ山間の接触状態が変化し,CANが起こる状態となったと考えられる.そのため2次高調波が発生し,締結前よりも10dB程度増加したものと考えられる. さらに,この実験と同時に,著者らのこれまで報告しているボルトの頭部からの超音波を送受波する手法で計測したところ,締結前後で同様に2次高調波の増加することが確認された.これらの結果より,ナット部とボルト頭部のどちらから超音波を送受波しても,同様の結果が得られる可能性を示すことができた.送受波位置を選択でき,実用化に向けて制限が緩和されたといえる.
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