2010 Fiscal Year Annual Research Report
基礎地盤の影響を考慮した液状化に伴う盛土の被害スクリーニング手法の開発
Project/Area Number |
22760362
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
中島 進 独立行政法人土木研究所, 材料地盤研究グルーブ(土質・振動), 専門研究員 (20522478)
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Keywords | 盛土 / 液状化層厚 / スクリーニング / 基礎地盤 |
Research Abstract |
道路・鉄道盛土や河川堤防などの盛土構造物は一般に延長が長い。このため、耐震診断や補強の優先順位の設定にあたり、比較的簡易な手法で地震による被害をスクリーニングする手法を構築することは重要である。本研究は盛土、堤防などの土構造物の耐震診断・設計・補強の合理化に資することを意図して、盛土の液状化による被害スクリーニング手法の開発を目的とする。H22年度は、過去の被害・無被害事例に着目した事例分析と、表層非液状化層に着目した動的遠心模型実験を行った.河川堤防の地震時被害事例に関する事例分析ならびに文献収集の結果、河川堤防の場合、地震による沈下の程度は地形区分に加えて、基礎地盤の土層構成にも強く依存し、本年度の文献調査の範囲では、液状花層厘が2~5mの範囲では、表層に5m以上の非液状化層が存在する場合には、堤防に有意な沈下が生じた事例はなかった。このととは、表層非液状化層の厚さがスクリーニングを行うための有用な指標であることを示唆している。これを実験的に検証するため、液状化層15mの上に高き6mの盛土が築造されている状況を想定した動的遠心模型実験を実施した。実験では、全層厚は一定としつつ、水位を低下させて表層非液状化層および液状化層の厚さを変化させた。表層非液状化層の厚さは0m、3m、6m、15mの4通りで、加振は1.5Hz20波の正弦波で行い、最大加速は約600galである。実験の結果、表層非液状化層の増大とともに盛土の沈下量は減少した。また、表層非液状化層厚が6mのケースでの盛土の沈下量は、表層非液状化層厚が15m、すなわち液状化層が無い場合とほぼ同程度だった。この結果は、事例分析の結果と定性的に対応しており、今後はさらなる事例収集とともに、数値解析にようて盛土高さ、液状化層厚、液状化層の液状化強度に関するパラメータスタディを行い、表層の非液状化層厚を指標とした盛土の地震被害スクリーニング手法を提案する。
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