2010 Fiscal Year Annual Research Report
全球水文モデルのネスティングによる洪水流出氾濫一体シミュレーション
Project/Area Number |
22760379
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
佐山 敬洋 独立行政法人土木研究所, 水災害・リスクマネジメント国際センター, 研究員 (70402930)
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Keywords | 洪水災害 / 水文モデル / 降雨流出 / 氾濫解析 / 水災害 / 流出氾濫モデル / インダス川 / 高潮氾濫 |
Research Abstract |
地球上の任意の領域で、河川流量と洪水氾濫とを同時に解析する洪水予測システムの開発を進めている。初年度にあたる平成22年度は、平面二次元の降雨流出氾濫モデルを開発し、大きさや地形の異なる様々な流域に適用した。開発したモデルは、浅水方程式の拡散波近似に基づくモデルであり、地表流だけではなく、地中流も簡易的に追跡する。これにより、従来の氾濫モデルとは異なり、降雨流出過程と洪水氾濫とを同じ枠組みで計算することができる。平成22年度は、モデルの開発と並行し、分布型流出モデルとの比較、浅水方程式に基づく氾濫モデルとの比較を行った。また、2010年7月から8月にかけてパキスタンで発生した大規模な洪水災害を対象に同モデルを適用した。その結果、衛星リモートセンシングで抽出される広域の洪水氾濫をこのモデルで妥当に再現できること、さらに、リモートセンシングでは特定の難しいフラッシュフラッドによる被害地域をモデルで推定できることが明らかになった。また、パキスタン洪水のような大規模氾濫を伴う洪水については、河川流量を推定するうえでも氾濫の影響を考慮することが重要であることが分かった。開発中モデルは1km程度の粗いグリッドサイズを用いれば広域(~100,000km^2)をカバーできる。また、領域を限定すれば100m程度の細かいグリッドサイズでも計算が可能である。今後、異なるグリッドサイズのモデルをネスティングすることによって、広域の流出氾濫予測を行うと同時に、特定の場所において、広域情報をダウンスケールする枠組みを検討することが課題である。
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Research Products
(8 results)