2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域分析手法の精緻化に向けた空間統計解析理論の融合
Project/Area Number |
22760383
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 亮 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60401303)
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Keywords | 空間統計解析 / 不動産価格情報 / 時空司内挿 / 情報提供 / 可視化 |
Research Abstract |
統計情報の流通施策や情報観測・通信技術開発の進展に伴い,多種多様な空間情報の整備が進んでいるが,それらの情報を活用した統計解析手法の開発は空間情報の整備に遅れを取っており,異なる空間情報を活用した地域分析の実行には課題が多い.そこで,本研究プロジェクトでは,複数の学問領域にて研究されてきた既存の空間統計解析理論の体系化を通してその融合を図り,空間情報を十分に活かした地域分析手法の構築を模索し,土木計画のより一層の精緻化を目指す. 平成22年度は,異なる2種類の地点属性情報を解析し,新たな空間情報を作成し提供する手法について検討を行った.具体的には,2種類の不動産価格情報である,長期的な価格変動を表す不動産鑑定に基づいた公的地価指標(国土交通省公示地価・都道府県地価調査)と,短期的な市場動向を反映している不動産取引の成約価格である取引価格情報,に着目し,これらを組み合わせた地域分析手法の構築を検討した.まず,時空間統計解析手法を活用した内挿を通して両者を比較可能な情報へと加工した.2種類の情報の比較から,不動産市場動向の時空間上における違いを抽出可能であることを示し,その結果を利用して不動産価格の高騰・下落の伝播状況を視覚的に表現することを試み,不動産市況の地域差を把握することができることを確認した.また,任意の土地における標準的な価格やその時間的変遷,取引価格形水準の変動を表現する試験的なWebシステムを実装した.なお,実装したシステムは,不動産鑑定士など地価情報の専門家による検証によって有用性が確認されており,近い将来に一般公開することを検討している.
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