2011 Fiscal Year Annual Research Report
硝化ポテンシャルの変動にともなうN2O生成機構の解明
Project/Area Number |
22760405
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤田 昌史 茨城大学, 工学部, 准教授 (60362084)
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Keywords | 一酸化二窒素 / 硝化 / アンモニア酸化量 / 最大アンモニア酸化速度 / 亜硝酸 |
Research Abstract |
本年度は、実処理施設の標準活性汚泥法を対象として、一酸化二窒素の生成機構を調べた。前年度の研究で、アンモニア酸化量に応じてAOBの細胞内における酸化還元反応の必須成分の一つであるキノンの含有量が決まり、アンモニア酸化のポテンシャルや一酸化二窒素の生成に関係することを見出していることから、特に硝化促進運転系と硝化抑制運転系に着眼して調査研究を実施した。流下方向に採水して、三態窒素や溶存態一酸化二窒素を分析すると、硝化促進運転系では反応タンクの末端で亜硝酸性窒素が残存しており、溶存態一酸化二窒素濃度が卓越した。一方、硝化抑制運転系では亜硝酸性窒素の残存が認められたものの、溶存態一酸化二窒素濃度は一オーダー低い結果となった。硝化促進運転系では処理水にアンモニア性窒素がほとんど残存しなかったが、硝化抑制運転系では流入水全窒素が25mgN/Lに対し、処理水中のアンモニア性窒素が10mgN/L残存していた。明らかに硝化促進運転系の方が硝化抑制運転系よりもアンモニア酸化量が多いことから、AOBの亜硝酸還元による一酸化二窒素の生成にはアンモニア酸化量が関係するという前年度の知見により、実施設における現象も説明できた。 以上の検討により一酸化二窒素の生成の重要な要因として見出されたアンモニア酸化量をベースとして、一酸化二窒素の生成量を予測可能な簡易モデルを作成した。アンモニア酸化量と一酸化二窒素生成量との間にはMonod型の関係が見出されたのでこれを定量化した。実処理施設に適用したところ、通常運転系と節電運転系で一酸化二窒素の生成量を精度よく再現することができた。
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Research Products
(8 results)