2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱中症リスク評価のための屋外長波放射と着衣のぬれを考慮した人体生理量予測モデル
Project/Area Number |
22760434
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
桑原 浩平 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (40374582)
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Keywords | 建築環境・設備 / 人間生活環境 / 熱中症 / 長波長放射 / 衣服 / グローブ温 / 発汗 / 平均皮膚温 |
Research Abstract |
屋外における日射作用温度を,長波長放射の影響である「環境作用温度」と着衣・皮膚表面で吸収される日射量の温度換算値の和として定義し,熱中症による事故が多く発生している路上や農場,運動場など地面特性や天空率の異なる様々な場所で環境作用温度の特性把握を試みた。平成23年度は,屋外熱環境要素の垂直分布(50,100,150cm),そして異なる地表面(屋上,路上,芝生)が人体への熱ストレスに及ぼす影響を評価する事を目的として,様々な環境で環境グローブ温度(環境作用温度として代用する)を実測し,日射作用温度,平均皮膚温を用いて評価した。屋上の気温,環境グローブ温の垂直分布を実測した結果,50cmにおいて気温,環境グローブ温共に150cmよりも高い値を示した。しかし9~15時の1時間平均値では,気温と環境グローブ温はほぼ等しい値を示していることから,環境グローブ温度の垂直分布は長波長放射の影響よりも気温の影響を大きく受けていることが示唆された。次に地表面別の実測結果を基に,代表日の日射作用温度,平均皮膚温の経時変化を試算した。芝生は環境グローブ温が低いが,アルベドの増加や風速の低下により日射受熱量が増加し,結果的に日射作用温度や平均皮膚温は路上や屋上とほぼ同じ値を示した。 さらに本年度は,衣服の素材が着衣のぬれに及ぼす影響を把握するために2名の健康な成年男性を用いた自転車エルゴメーター運動による被験者実験を行った。100%綿Tシャツ・100%綿ズボン着用時(CE1)と100%ポリエステルTシャツ・60%綿/40%ポリエステル混紡ズボン着用時(CE2)で比較検討した。気温の変化に対する平均皮膚温の変化に有意な差は見られなかった。しかし発汗ぬれ率に対するぬれに伴う着衣重量の増加量は,ポリエステル着用時の方が有意に低い値を示した。このことからCE2の衣服では,蒸発した水分の一部は体温調節に寄与していないことが示唆された。
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Research Products
(4 results)