2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際交流を背景とした中東都市計画史研究と都市保全プロジェクトへの還元
Project/Area Number |
22760450
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 康介 筑波大学, システム情報系, 助教 (00548084)
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Keywords | ダマスカス / アレッポ / ベイルート / アルジェ / 都市保全 / 国際交流 / JICA / 中東・北アフリカ |
Research Abstract |
中東・北アフリカ地域の歴史都市は、老朽化や過密化、あるいは経済発展に伴う行過ぎた近代開発といった、現実的な都市問題に直面しており、いかにして保全・継承されるべきかが、国際的に重要な課題となっている。本研究は、旧市街の空間構成を既往研究から踏まえた上で、20世紀以降の近代都市計画史の批判的な分析を行い、未来に向けた都市の保全・継承の指針を得ることを目的とした。また、筆者が現在進行中の都市保全プロジェクトに関わっている経緯から、実際の都市空間において実現することを目標に、その指針をプロジェクトに反映させた。更に、そこで得られた知見を研究にフィードバックし、国際交流を背景とした都市計画史の構築を試みた。 本年度は、昨年度に析出した都市空間上の要衝において、実測・ヒアリング等のフィールド分析を実施した。ただし、中東諸国の政治的動乱から、シリアにおいて新たなフィールドワークは実施しなかった。更に、宗主国であるフランスにおいて追加的な文献調査を実施した。 具体的な要衝として、ダマスカスにおけるカナワート南地区の街路、アレッポ旧市街における大モスク通り、ベイルート旧市街とガルゴール地区を選定し、番匠谷尭二による都市計画の実践と課題、JICAによる現在進行中の保全事業の評価、といった、国際協力・交流による都市保全の成果を実証的に解明した。いずれも前年度までに取得したフィールド調査の成果を活用したものである。また、JICAプロジェクトのカウンターパート10名を筑波大学に研修の一環としてお迎えし、都市計画系教員による講義、つくば市、真壁町、中根・金田台地区、牛久自然観察の森での講義に参加してもらい、つくばの経験をダマスカスに活かしてもらうことを試みた。そうした成果を広く活用して、カナワート南地区の成果をプロジェクトレポートの形でファサード整備事業に反映させ、社会還元を試みた。さらに、これを日本都市計画学会、国際開発学会等で発表し、学術成果としてフィードバックした。
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Research Products
(5 results)