2011 Fiscal Year Annual Research Report
短繊維強化プラスチックにおける成形プロセス・機械的特性の統一的評価技術の構築
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22760524
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
矢代 茂樹 静岡大学, 工学部, 准教授 (00452681)
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Keywords | 複合材料 / 不連続繊維複合材料 / 射出成形 / 繊維配向 / シミュレーション / MPS法 |
Research Abstract |
本研究では,連続体を粒子の集合として表現し,その運動を解析するMPS(Moving Particle Semi-implicit)法を用い,繊維強化プラスチックの成形流動シミュレーションを構築した。強化繊維と樹脂を個別にモデル化することで,繊維の運動を追跡できる。特に,平成23年度には解析の不安定化の原因である圧力振動の抑制手法を導入し,非圧縮性流れの解析と弾性体の解析を連成させた解析を構築した。本解析を用い,繊維および樹脂を充てんさせた平板状の樹脂槽から樹脂をプレスし,リブを立てる様子を解析した。その結果,圧力振動が抑制されたことを確認するとともに,複数の繊維が変形しながらリブへ流入する様子を表現できた。 次に,MPS法を利用した流動解析の精度を検証した。本解析で予測したポアズイユ流れの流速分布が理論とおおむね一致することを示した。また,樹脂流動の先端で観察されるファウンテンフローを本解析でも表現できることを示した。繊維の運動に関して,単純せん断流れにおける剛体繊維の配向角の経時変化がJefferyの解と一致することを確認した。以上により,樹脂の流動とそれに伴う繊維の運動を正しく予測できることを実証した。 さらに,繊維強化プラスチックの成形プロセスを観察するために,プラスチック製の可視化金型および簡易樹脂押し出し装置を製作した。まず,本装置を用いてガラスクロスへの樹脂含浸におけるボイド生成を観察した。観察されたボイド率は文献に示されているキャピラリー数とボイド率の関係と一致した。また,粘度調整剤を混合した水溶液にガラス繊維を分散させ,金型へ射出する模擬実験を行った。観察された繊維配向の分布は,汎用ソフトウェアで予測される繊維配向分布と一致した。以上より,製作した装置が繊維強化プラスチックの成形を模擬できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画の通りに研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行にあたり,計画段階で想定していた流動解析(粒子モデル)では実際の成形における繊維間干渉などの現象を解析するには不十分であることがわかった。そこで,最終年度は,これまでに開発した手法を,実際の繊維強化プラスチックの成形を表現しうる解析へ改善することを主な目的とする。それに伴い,最終年度に粒子モデルを利用した成形材の機械的特性の評価を目指していたが,従来手法を援用した簡便な手法に機械的特性の予測方法を変更する。
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Research Products
(7 results)