2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの変形による結晶構造変化及び電子構造変化のメカニズム解明
Project/Area Number |
22760543
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河邉 英司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任研究員 (90514430)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 温度計測 / 熱解析 / 電気伝導 / 層間伝導 / フォノン散乱 / 欠陥 / 熱伝導方程式 |
Research Abstract |
(1)熱放射スペクトル測定系の改良:既存の発光分光測定システムに回折格子(格子数150本/mm、ブレーズ波長800nm)を追加した。これにより、高強度でワイドレンジ(波長500~1000nm)な熱放射スペクトルを1スキャンで測定できるようになり、測定時間の短縮化が実現できた。本研究課題において対象としている、直径2nm程度、長さ130nm程度の細く短いカーボンナノチューブからの熱放射も捉えられることを確認した。 (2)加熱によりナノチューブを塑性変形させるには一般的に1400K以上の安定な高温状態が必要である。そのため、高温域におけるナノチューブの電気伝導特性を調べることは、塑性変形を制御する上で重要である。そこで、結晶性がよく高温域においても構造的に安定である、アーク放電法により作製した多層ナノチューブを用いて調べたところ、電極間に架橋されているナノチューブ中心部の最高温度が1500K程度になるまではナノチューブの電気抵抗は減少し、1500K以上では増加した。このような温度変化は、ナノチューブ最外二層が電気伝導に寄与するとした伝送線路モデルに、温度依存性の層内抵抗(フォノンによる電子散乱と構造欠陥による電子トラップを考慮)と層間伝導(層間でのホッピング伝導)を導入することで説明できた。さらに、求めた電気伝導特性から極微小領域での抵抗値の温度依存変化を求め、通電加熱されているナノチューブ内での温度分布解析を行ったところ、「電気抵抗及び熱伝導率が一定」の元での一次元熱伝導方程式の解である二次関数分布で近似できることが分かった。
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