2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760574
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸岡 伸洋 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40431473)
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Keywords | 熱力学 / ガス還元 / 固体鉄 / 鉄鋼製錬 / 新製鉄 / 省エネプロセス / 水素 |
Research Abstract |
現行の炭素を用いた鉄還元法(高炉)は炭素飽和であるため酸素ポテンシャルが低すぎ、PやSiなどの不純物元素も還元されて鉄に混入するため、次の製鋼工程で再酸化させ不純物を除去している。これに対し水素や一酸化炭素を用いた気体還元では酸素ポテンシャルを高く制御可能で、不純物含有量の少ない鉄を生成出来る可能性がある。気体還元で得られる鉄は炭素飽和でないため融点が高く、温度によっては固体鉄が得られるが、固体鉄への不純物元素の分配挙動は明確でない。そこで本研究では溶融酸化物からの固体鉄析出時のP等不純物のメタル-スラグ間平衡分配を測定し、不純物の少ない鉄が得られるスラグ組成、酸素分圧などの条件を明確にすることを目的とした。これまで溶鉄-スラグ間の平衡P分配は数多く報告されているが、本研究で想定するスラグはAl203濃度が従来研究よりも極めて高く、また温度は低い点が従来研究と異なる。本研究で得られる鉄中のP濃度は極めて低いことが予想され心精度良い分析方法の確立が必要である。鉄試料を酸溶解後、溶液から鉄分をMIBK溶媒で抽出除去し、超音波ネブライザー仕様のICP-AESで分析することで極低P鉄の分析手法を確立した。固体鉄-スラグ間の平衡P分配LPを酸素分圧log(PO2)=-11.5~-14 atm,塩基度C/S=0.5,1.0,1.2の範囲で測定した結果、以下の知見を得た。1)PO2,C/S,スラグ中FeO濃度が高いほどLPは高く,C/S=1.0程度で十分低P濃度の鉄が得られた。2)スラグの脱P能力を示すPhosphate capacityはスラグ組成から求める光学的塩基度で整理でき、光学的塩基度が高いほど、また温度が低いほどPhosphate capacityは高い値を示した。3)実験で得られた条件でのP分配をもとに鉄の損失量,CaO消費量を試算した結果、現行製鉄法と比較して格段に少ないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにP分配平衡の測定およびモデル化を予定通り終了した。23~24年度ではMn,Si平衡分配を測定する予定であったが、現在までのP分配の結果よりMn,Siの分配測定の重要性が低下したため予定を変更し、非平衡時のP分配を測定中である。
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Strategy for Future Research Activity |
23~24年度ではMn,Si平衡分配を測定する予定であったが、現在までのP分配の結果よりMn,Siの分配測定の重要性が低下したため計画を変更することとした。今年度は非平衡時のP分配を測定し、溶融酸化物からの鉄の生成挙動および生成した鉄へのPの分配挙動について調査することを目的とする。
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