2011 Fiscal Year Annual Research Report
光重合誘起相分離による機能性ネットワークポリマー薄膜の創成と応用
Project/Area Number |
22760587
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀧 健太郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (70402964)
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Keywords | 一方向凍結 / 紫外線硬化樹脂 / UV硬化 / 多孔材料 |
Research Abstract |
コロイド溶液や高分子溶液を特定の方向から凍結させることで、溶媒結晶と溶質の相分離を誘起し、溶媒結晶の結晶形態により溶質分子を配列させる手法を一方向凍結と呼ぶ。この一方向凍結法はこれまでにナノ粒子やミクロン粒子のコロイド溶液や高分子溶液などにおいて、凍結方向に規則正しく孔が配列した多孔構造体を作成することに成功している。この手法は規則的な多孔構造体を簡便に作成する上で大変優れた手法であるが、現在のところ2点の問題点がある。1つ目は、凍結後に溶媒結晶を取り除くために凍結乾燥が必要であること。2つ目は、大きな孔径を有する高分子多孔構造体を作成できないことである。我々はこの2点を解決するために、紫外線硬化樹脂のモノマーを有機溶媒に溶解し、一方向凍結させ、その後、凍結体に紫外線を照射しモノマー同士を架橋重合させている。 本年度は特に、紫外線硬化樹脂を凍結前に予備硬化させたときの孔径に対する影響を調べた。紫外線硬化樹脂モノマーはウレタン系ジアクリレートを使用し、溶媒は従来通り1,4-ジオキサンとした。光開始剤はジフェニル2,4,6トリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド(TPO)を使用した。5wt%のモノマー溶液を凍結させる前に、紫外線を0、60、120、180s照射した。その後、3.5cm/hの挿入速度で凍結し、さらに紫外線を照射して構造を固定化した。乾燥した試料の断面の孔径は、照射時間の増加とともに減少していた。別途、予備硬化した試料の粘度を測定したところ、予備硬化により溶液粘度は上昇していた。溶液粘度の上昇は溶質の拡散係数の低下を示唆しており、溶質の拡散が低下することで過冷却度が増加し孔径が減少したと言える。このように事前に粘度を調節することで所望の孔径をデザインすることができるようになった。
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Research Products
(3 results)