2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770020
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 不二夫 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70435535)
|
Keywords | 寒帯林 / 退行遷移 / 窒素同位体比 / 窒素制限 / 窒素源 |
Research Abstract |
本研究の目的は、寒帯林の植物の窒素源と遷移過程におけるその変化を解明することである。長期にわたって大きな撹乱がない場合、遷移が進むにつれリンや窒素などの栄養塩制限をうけ、一次生産性が低下するなど生態系の衰退期(退行遷移)を迎える。しかし、その過程で植物の窒素源(溶存態有機窒素、アンモニア、硝酸)がどのように変化するか、わかっていない。本研究では土壌KCl抽出液の溶存窒素と植物の窒素安定同位体比を比較することで、植物の窒素源を明らかにする。 平成22年8月に、スウェーデン北部、ノルボッテン郡のアリエプローグ及びアルヴィジャールにおける調査を行った。各調査地において、高木3種、下層低木3種、コケ2種、草本1種及び土壌(腐植)を採取した。腐植については、2NKCl溶液によって30分浸とうし、ガラスフィルター(whatmanGF/B2時間焼き済み)で濾過しKCl抽出液を得た。植物試料や土壌試料は60℃二晩乾燥し、KCl溶液は、直ちに冷凍した。これらの試料の窒素同位体比を測定するため、植物試料については、日本に持ち帰った後にボールミルによって粉砕した。これら固体試料については、元素分析計付き試料分析計によって分析する。KCl溶液については、硝酸態窒素同位体は、脱窒菌を用いて測定した。全窒素は、ペルオキソ2硫酸カリウム溶液によって硝酸まで酸化分解し、脱窒菌法によって分析した。また、アンモニア態窒素同位体はammonia diffusion法とペルオキソ2硫酸カリウム法を組み合わせて、測定した。現在、結果の解析中であるが、両調査地ともにこれらKCl抽出液の窒素同位体比は、土壌(腐植)のそれを強く反映していることが示されている。今後、植物の窒素同位体比を分析し、植物の利用している窒素源を明らかにする予定である。
|