2010 Fiscal Year Annual Research Report
C4光合成獲得プロセスにおける循環的電子伝達活性の上昇機構の解明
Project/Area Number |
22770039
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宗景 ゆり 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30423247)
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Keywords | 光合成 / C4種 / 循環的電子伝達 |
Research Abstract |
光化学系1循環的電子伝達は、C_3型よりもC_4型植物において活性が高くなっていることから、C_4代謝に必要なATP供給を行っていることが示唆されている。Flaveria属植物には、C_3型、C_4型に加えC_3-C_4中間型の光合成を行う中間種や、よりC_4型に近い光合成を行うC_4様種が存在する。C_3型からC_4型への進化の過程でC_4代謝経路の発達に伴って光化学系1循環的電子伝達系がどのように変化したのか明らかにするために、C_3種、C_3-C_4中間種、C_4様種、C_4種を含めた8種のFlaveria属植物を用いて、光化学系1循環的電子伝達活性とそれに関わるタンパク質発現量、チラコイド膜構造の解析を行った。クロロフィル蛍光の一過的上昇値から見積もられる、葉緑体NADP dehydrogenase(NDH)活性は、中間種と比較してC_4種とC_4-like種で著しく高くなっていた。また、NDH複合体サブユニットのNDH-H発現量も同様な差異を示した。一方、P700の酸化速度から見積もられる光化学系1循環的電子伝達活性はC_4-like種と比較してC_4種で著しく高かった。Ferredoxin-plastoquinone reductase(FQR)活性に関与するPGR5発現量の増加、また維管束鞘細胞の葉緑体におけるグラナ構造の減少もC_4-like種からC_4種間で大きな違いが見られた。C_4代謝酵素の発現量は中間種で既に増加していることから、光化学系1循環的電子伝達系はC_4代謝酵素の発現量の上昇と共に強化されたのではなく、進化プロセスの中間型からC_4型へ移行する際に発達したと推察される。
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