2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770060
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
蓮沼 至 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (40434261)
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Keywords | アカハライモリ / 求愛行動 / プロラクチン / アルギニンバソトシン / アルギニンバソトシン受容体 |
Research Abstract |
繁殖期アカハライモリの雄は雌に対して特異的な求愛行動を行う。この求愛行動発現にはプロラクチン(PRL)やアルギニンバソトシン(AVT)が関与している。PRLのAVT含有ニューロンへの作用を調べる目的で、イモリ脳の器官培養系を用いて、PRLがAVTの放出に関与するか調べた。すると10-6MのPRLにAVTの放出活性が認められた。また、PRLはAVT前駆体mRNA発現を高める結果も得られている。AVTの脳内作用部位を特定するため、in situ hybridizationおよび免疫組織化学的手法によりAVT受容体(V1a、V2、V3/V1bタイプ)の繁殖期雄脳内の局在を詳細に解析した。V1a受容体は大脳では内側外套に最も強い発現を示しており、扁桃体、分界上床核にも発現が確認された。間脳では視索前野、視交叉上核、視床、室周核、背側および腹側視床下部に、中脳では視葉、脚間核、延髄では運動核、網様体および縫線核に発現していることがわかった。V2タイプ受容体は大脳の内側外套、扁桃核、分界上床核、中脳の視蓋等の非常に限られた部分に発現が確認された。最も発現レベルが高い部位は副生体であった。V3/V1bタイプ受容体は大脳での発現が確認されず、間脳では背側視床、室周核、背側視床下部、中脳では視蓋および脚間核、延髄では縫線核で発現が確認された。また、上記3種類のうち、どの受容体が求愛行動発現に重要であるかをレポータージーンアッセイによって調べたところ、求愛行動発現を抑えるバソプレッシンV1a受容体のアンタゴニスト([d(CH2)51, Tyr(Me)2, Arg8]-vasopressin)はV1a、V3/V1bタイプ受容体のシグナルトランスダクションを阻害することが分かった。したがって、V1a、V3/V1bタイプ受容体が求愛行動発現に関与すると推察される。
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