2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘビ類の嗅覚受容体遺伝子の機能とウミヘビの同所的種分化の分子的基盤に関する研究
Project/Area Number |
22770082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸田 拓士 京都大学, 理学研究科, 研究員(グローバルCOE) (40527892)
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Keywords | 嗅覚 / 進化 / 海洋性羊膜動物 / ヘビ亜目 |
Research Abstract |
バヌアツアオマダラウミヘビLaticauda frontalisやアオマダラウミヘビL.colubrfina、ヒロオウミヘビL.laticaudata(以上卵生ウミヘビ)、クロガシラウミヘビHydrophis melanocephalus(胎生ウミヘビ)、ヒャンSinomicrurus japonicus(コブラ科陸上性ヘビ)の核DNAから嗅覚受容体遺伝子を増幅して次世代シーケンサーで網羅的な解読を行った。この結果、それぞれのヘビ類の持つ嗅覚受容体遺伝子のレパートリーが明らかとなり、また、海洋環境への適応度合が上がるにつれて嗅覚能力が衰退することが解明された。さらには、クロガシラウミヘビの頭部を解剖して嗅覚器官(鋤鼻器)を摘出し、その組織化学的観察およびRNAの抽出を行った。鯨類や海牛類など、海洋性羊膜動物のほとんどは鋤鼻器が失われていることが報告されているが、クロガシラウミヘビの鋤鼻器は十分に発達していた。また、そのRNAに含まれる嗅覚受容体遺伝子配列の単離を試みた結果、多くの嗅覚受容体遺伝子の取得に成功した。これらの結果は、クロガシラウミヘビの鋤鼻器は陸上性のヘビ類と同じく嗅覚器官としての機能を保持しており、その分子的基盤として一部の嗅覚受容体遺伝子が働いていることが解明された。さらには、同所的種分化の分子的基盤の解明のために、同所的に生息する2種の近縁なウミヘビであるバヌアツアオマダラウミヘビとアオマダラウミヘビの嗅覚受容体遺伝子の比較を行ったが、顕著な違いは発見できなかった。このため、バヌアツ共和国に再度サンプリングに出かけ、それぞれのウミヘビを複数個体サンプリングした。現在、嗅覚受容体遺伝子レパートリーの集団間での比較を試みているところである。
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Research Products
(4 results)