2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本産ガロアムシ目の分類学的研究:分類資料コレクションの構築と公開
Project/Area Number |
22770090
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Research Institution | The Yokosuka City Museum |
Principal Investigator |
内舩 俊樹 横須賀市自然・人文博物館, 博物館運営課, 学芸員 (20463086)
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Keywords | 昆虫 / ガロアムシ / 分類学 / 多様性 / 博物館 |
Research Abstract |
収集予定の生体資料数が少なかったため既存の飼育設備の更新はぜず、昨年度までに収集したガロアムシ目約200個体の飼育を行い、適宜標本を作製、画像データを収集した。特に、四国産ガロアムシ目については、既知種との違いが特に顕著だったため、約30個体にわたり実体顕微鏡下で正確な体のサイズを測定した。その結果、幼虫から成虫に至る全てのステージで眼を欠くこと、肢の腿節の[長さ/幅]比が「細長い」ことが判明した。これは同地域のガロアムシ目について行われた初めての研究成果であり、9月に開催された日本昆虫学会(山形大学)で発表した。尚、より小さな若齢幼虫や胚における計測には、蛍光染色法を用いた観察が有効であることが判明したため、予定していた高解像度実体顕微鏡の購入予定額を増やし、蛍光観察ユニットとそれに対応する高解像度レンズを購入した。 一方、文献調査による採集データをもとに、2011年2月及び3月にそれぞれ山陰地方と九州北部地方の採集調査を実施し、9地域20地点以上にわたって探索を行い、島根県出雲市と長崎県長崎市の2地点でガロアムシ目の採集に成功した。中でも、後者は長崎県及び日本のレッドリスト掲載種「イシイムシ」と考えられる個体群であり、1920年代の原記載以来となる再発見となるため、現在発表に向けた準備を進めている。こうした調査において、調査地点毎の土壌生物相をつぶさに記録していくことが、ガロアムシ目の産地の探索・絞り込みに大きな意味をもつことが判明した。そこで、ICレコーダー及びピンマイクを購入し、調査地点でガロアムシ目の探索を行いながらリアルタイムで土壌動物相を記録できるようにした。 上記の活動に伴って進めている分類資料コレクション(標本と採集・計測データ)は、現在所属機関において公開準備を進めている「博物館研究活動紹介ページ」の立ち上げ後に随時公開を行う予定である。
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