2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本産ガロアムシ目の分類学的研究:分類資料コレクションの構築と公開
Project/Area Number |
22770090
|
Research Institution | The Yokosuka City Museum |
Principal Investigator |
内舩 俊樹 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, その他 (20463086)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 昆虫類 / ガロアムシ / 分類学 / 多様性 / 博物館 |
Research Abstract |
昨年度までに収集したガロアムシ類四国・九州産標本および群馬県産のGalloisiana nipponensisや長野県産のG. yuasai、北海道産のG. yezoensisなどの標本を比較した。その結果、これまでそれぞれ九州固有種・四国固有種とされてきたものの、比較形態学的にあまり検討されてこなかったG. notabilisとG. chujoiが、G. nipponensisとは明らかに異なる形態的特徴(①胸肢腿節・脛節の「細さ[長:幅 比]」と②頚節片の少ない刺毛数)を持つことを明らかにし、国際昆虫学会(8月・韓国テグ市)にてポスター発表した。さらに、交尾の際に重要な役割を果たすメスの交尾器の一部(③担産卵弁節片)に着目し、その形状の際によってG. notabilisとG. chujoiを区別できることを明らかにし、日本昆虫学会(9月・玉川大学)にて口頭発表した。一方、2010年よりS.D. Schoville博士とともに行ってきた本州中部地域におけるガロアムシ類の地理的分布の遺伝的解析によって、中部山岳地域の山系ごとの個体群の存在を支持するとともに、個体群間の分岐年代が中部山岳地域ひいては日本列島の成因に関係する可能性を論じた(Schoville et al., 2013)。 前述の日本産ガロアムシ類の比較をさらに進めるため、10月に北海道で採集調査を実施し、G. yezoensisを3箇所で採集することに成功し、幼虫については飼育を継続している(分析は2013年度に実施予定)。 上記の活動に伴って進めている分類資料コレクション(標本と採集・計測データ)の公開については、6月に申請者の所属機関HPにリンクさせた「研究活動」のページの一部として公開を開始し、今後も随時成果を公開していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
西日本(四国・九州)産のガロアムシ類の標本を含めた比較検討ができたことと、本州中部地方の各地から得た試料による遺伝的解析が成功したことにより、学会発表や論文発表を行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本各地のガロアムシ類の試料・知見を蓄積し、分類学的再検討に関する研究論文・学会発表・Webにおける成果の公開を進める。種間差異を明らかにするためには地域ごとに複数の成体試料を必要であり、日本各地でガロアムシ類の採集に成功してはいるものの、比較検討に用いることができる十分な試料の確保にあたっては、当初の想定よりも困難であることが分かった。研究協力者との情報交換などを通じて、トラップ採集法や飼育法を工夫し、試料確保の効率を高めたい。
|