2010 Fiscal Year Annual Research Report
極長鎖セラミドの生成機構および生理的役割の分子レベルでの解明
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22770095
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水谷 有紀子 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 特任助教 (30396296)
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Keywords | セラミド / スフィンゴ脂質 / 極長鎖脂肪酸 / 酵素 / 細胞膜 / バリア機能 |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質セラミドは今日、化粧品などに保湿成分として配合される脂質分子として、一般にも広く知られるようになった。しかしながら、その生合成酵素が初めて明らかにされたのは、まだ10年ほど前のことで、細胞内での生成の分子メカニズムについては未解明の部分も多い。皮膚にはバリア機能に重要なω水酸化セラミドといった他の組織は見られない特徴的なセラミドが存在するが、そのω水酸化を担う酵素等は皮膚機能の改善に重要な役割を果たすと考えられるにもかかわらず、明らかにされていない。我々は、未だ同定されていない酵素蛋白の解析を通して、皮膚におけるセラミドの恒常的な役割の解明に努めている。また、セラミドはそれ自身がPPARを介した皮膚の創傷治癒に関与することが示唆されており、その分子メカニズムについても検討を進めている。加えて細胞膜におけるセラミドの細胞内シグナルに与える影響についても、分子生物学的手法を用い解析を行っている。グリセロ脂質と共に細胞膜の重要な脂質であるセラミドは、その側鎖にグリセロ脂質より長い飽和型の極長鎖脂肪酸を側鎖に持つ特徴がある。このため、セラミド側鎖は細胞膜において疎水性相互作用が強く、長さもあることから細胞膜外層から内層側へ入り込み、細胞膜内層の脂質や脂質修飾した蛋白とも相互作用することで、マイクロドメインの形成に関与すると考えられる。マイクロドメインへのレセプターの集積やシグナル分子の変化を追うことで、極長鎖セラミドの生理的役割を解明する。
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