2010 Fiscal Year Annual Research Report
錐体視細胞が明るいところで働き続けられる仕組みの解析
Project/Area Number |
22770150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘木 修志 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (70324746)
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Keywords | 生体分子 / タンパク質 / 視細胞 / 錐体 / レチナール |
Research Abstract |
1.錐体特異的なAL-OL反応の解析 AL-OL反応は、近年見出された錐体特異的な酸化還元共役反応である。この反応では、視物質の発色団として働く11-cisレチナールが合成される(酸化)と同時に、使用済みの発色団(all-trans型レチナール)の処理(還元)が行われる。AL-OL反応の効率は非常に高く、視物質をリサイクルする上で重要な反応であると考えられる。この反応は酵素によって触媒されることが解っているが、いまだ酵素の実体は不明である。そこで、錐体細胞からカラムクロマトグラフィにより当該酵素を精製する方法の確立に取り組んだ。しかし、各種カラム担体を用いても有効な方法を確立出来なかった。ネイティブPAGE法など、カラムクロマト以外の分離法も検討したが、やはり有効な方法は見いだせなかった。現段階では、複数の方法の組み合わせでの精製を目指している。 2.錐体において高効率で生じる視物質の脱リン酸化反応の解析 錐体における視物質の高効率な脱リン酸化反応をもたらす分子基盤を検討するために、脱リン酸化酵素の薬理的な同定を試みた。その結果、視物質の脱リン酸化に働いていると従来考えられていたPP2Aがほとんど実際には働いていないことが明らかになり、他の種類の脱リン酸化酵素を検討する必要があることがわかった。現在までの解析では、錐体・桿体ともにPP2Cが膜画分に局在する脱リン酸化酵素として働いていることを強く示唆する結果を得ている。今後、詳細を検討したい。さらに、錐体には新規の脱リン酸化酵素が存在することを示唆する結果が得られた。この酵素は水溶性画分にのみ存在し、いままでに知られているどの脱リン酸化酵素とも一致しない薬剤感受性を有している。これについても詳細を今後検討していく。
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Research Products
(4 results)