2011 Fiscal Year Annual Research Report
錐体視細胞が明るいところで働き続けられる仕組みの解析
Project/Area Number |
22770150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘木 修志 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (70324746)
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Keywords | 生体分子 / タンパク質 / 視細胞 / 錐体 / レチナール |
Research Abstract |
1,錐体特異的なAL-OL反応の解析 AL-OL反応は、近年見出された錐体特異的な酸化還元共役反応である。この反応では、視物質の発色団として働く11-cisレチナールが合成される(酸化)と同時に、使用済みの発色団(all-trans型レチナール)の処理(還元)が行われる。この反応は酵素によって触媒されることが解っているが、いまだ酵素の実体は不明である。昨年度に引き続き、錐体細胞からカラムクロマトグラフィ等により当該酵素を精製する方法の確立に取り組んだ結果、ネイティブPAGE法と陰イオン交換カラムクロマトグラフィ法を組み合わせることにより、候補タンパク質を10種類弱にまで絞り込むことに成功した。しかし、そこから当該タンパク質を同定するまでには至らなかった。 2,錐体において高効率で生じる視物質の脱リン酸化反応の解析 錐体における視物質の高効率な脱リン酸化反応をもたらす分子基盤を検討するために、脱リン酸化酵素の薬理的な同定を試み、昨年度までに、錐体・桿体ともにPP2Cが膜画分に局在する脱リン酸化酵素として働いていることを強く示唆する結果を得た。今年度も、同定を続けたが、有効な抗体の作成が遅れるなどの事情で同定に至っていない。なお今年度は、上記課題に関連して、錐体と桿体とで、視物質が一分子あたり何個のリン酸化修飾を受けると不活性化されるのか解析を行った。その結果、視物質の活性を抑えるためには、桿体では視物質あたり2~3個程度のリン酸基の結合が必要であるのに対し、錐体では1個程度のリン酸化が生じれば十分であることが明らかになった。この結果は、錐体・桿体での脱リン酸化反応の効率の違いの生理的意義を正しく評価する上で重要な知見である。
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