2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770153
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 等 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 研究員 (40419007)
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Keywords | 一分子計測 / 蛋白質 / 生体膜 / 膜透過ダイナミクス / 生物物理 |
Research Abstract |
細胞内ではタンパク質の膜透過や膜組み込みは小胞体膜で進行する。本研究課題は、(1)タンパク質の小胞体膜透過を全反射蛍光顕微鏡を用いて可視化・一分子レベルで計測し、(2)そのダイナミクスをリアルタイムかつ定量的に明らかにすること、さらに(3)膜貫通配列およびその近傍配列を系統的に改変したモデルタンパク質の解析により、これらの配列が膜透過ダイナミクスに与える影響を解明することを目的とする。 これまでの研究で、蛍光標識した膜透過中間体の蛍光、および消光剤の添加による消光を蛍光顕微鏡で観察することができた。そこで、平成23年度では、(1)膜透過による蛍光強度の増加の観察を行った。小麦胚芽抽出物無細胞合成系でサプレッサーtRNA法により、蛍光色素HiLyte Fluor 488で標識したイヌ膵臓ミクロソーム膜透過中間体を作成した。次いで、膜透過を開始させ、膜透過中間体の標識蛍光色素が消光剤から隔離されることによる蛍光強度の増加を、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、バックグラウンド光と標識色素の退色のため、蛍光強度の有意な増加を観測することはできなかった。また、(2)顕微鏡視野内での膜透過中間体の位置特定を目的とした小胞体の蛍光標識のため、小胞体内腔へ蛍光タンパク質を導入することができた。 当初、消光状態から蛍光状態への蛍光強度変化により膜透過を観測することが出来ると期待されたが、現状よりも広いダイナミックレンジでの一定時間の測定が必要であることが判明し、平成22年度に引き続き、シグナル/ノイズ比と蛍光寿命の改善が必要であることが分かった。
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