2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子機能発現における、2段階サーベイランス機構の解明および疾患治療への応用
Project/Area Number |
22770198
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
榊 建二郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70509968)
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Keywords | 小胞体 / 小胞体ストレス / 品質管理機構 |
Research Abstract |
小胞体は真核生物における分泌系蛋白質の生合成及び高次構造形成の場である。小胞体品質管理においては、適格な構造形成を成し得た蛋白質のみを選別する一方で、構造異常蛋白質は小胞体関連蛋白質分解(ERAD)により分解される。更に、環境的・遺伝的要因による構造異常蛋白質の過剰発生(小胞体ストレス)に対しては、小胞体ストレス応答(UPR)を活性化してERADの効率化と蛋白質フォールディングの精度を上げることで、小胞体機能の恒常性維持を司る。小胞体品質管理機構は、分泌系組織の発生過程や糖尿病等の疾患における発症機構における重要性が明らかにされており、その全容解明が期待されている。我々はこれまでの研究から、mRNA品質管理機構のひとつであるnonsense-mediated RNA decay (NMD)の破綻が小胞体ストレス応答を誘発することを明らかにしており、mRNA品質管理がどのようにして小胞体品質管理機構と相互作用するかについて解析を進めている。平成22年度においては、哺乳動物系培養細胞を用いた解析から、一部のNMD関連遺伝子については、発現抑制が小胞体ストレスに対する細胞の脆弱性を増大する一方で、過剰発現により小胞体ストレスに対する耐性が高まることが示された。また、線虫C.elegansを用いた遺伝学的解析からNMD不全誘発型小胞体ストレスに対する抑制変異株も得られており、今後はサプレッサー遺伝子の同定を行うと同時に、NMD機構と小胞体品質管理機構の相互作用について、細胞生物学的及び生化学的に詳細な解析を行う。
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