2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工セントロメアDNAを利用した、新規クロマチン制御因子の探索
Project/Area Number |
22770203
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Research Institution | かずさDNA研究所 |
Principal Investigator |
大関 淳一郎 公益財団法人かずさDNA研究所, 細胞工学研究室, 研究員 (30514088)
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Keywords | セントロメア / クロマチン / 染色体 / CENP-A / キネトコア |
Research Abstract |
巨大な反復配列であるヒトセントロメアDNA(アルフォイドDNA)上には、セントロメア特異的なヒストンH3バリアントであるCENP-A蛋白質が集合した領域の他に、通常のヒストンH3が修飾を受けたヘテロクロマチン、ユウクロマチン領域も存在する。 本研究では、TetO配列を埋め込んだ人工ヒトセントロメアDNA配列(tetOアルフォイド)を作成し、tetOに結合するTetR蛋白質と融合させた任意の因子を作用させることで、そのクロマチン構造形成に及ぼす効果を評価するとともに、機能するセントロメア構造の新規形成誘導を主たる目的とした。 今年度は、CENP-A集合を正に制御する因子として、ヒストンアセチル化酵素(p300、PCAF)、ならびにhMis18α、HJURPなどの複数の因子を同定し、さらに、これらの因子がCENP-A集合を介して、染色体分配装置であるキネトコア構造の形成も誘導できることを明らかにした。これらの知見を活かして、これまで人工染色体形成の起こらなかったヒト培養細胞株でも、上記因子の結合誘導により新規形成が可能になることも示し、ヒト人工染色体ベクターの応用の幅も広がった(Ohzeki et al,2012)。 また、このような人工セントロメアDNAを利用した、任意因子のクロマチン形成能を評価する実験系を、ヘテロクロマチン形成にも拡張するため、HP1、PC2などのヘテロクロマチン蛋白質を指標とした系の構築も進めている。さらに、この系の高効率化を目指し、かずさDNA研究所の持つHaloタグ融合cDNAライブラリー(数千のヒト遺伝子を包有)を、細胞膜透過型小分子を利用してtetOアルフォイドDNA上に作用させる技術の開発も進めている。これらの技術開発においても、応用への目処が立つところまでは進展した(未公表)。この技術も今後さらに発展させて行きたい。
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Research Products
(5 results)