2011 Fiscal Year Annual Research Report
果樹における隔年結果現象のメカニズム解明-花成関連遺伝子解析からのアプローチ
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22780022
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
江角 智也 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (30548764)
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Keywords | 園芸学 / 果樹 / 遺伝子 / 生理学 / 花芽形成 / 果実着果 / カキ / ブドウ |
Research Abstract |
果樹の隔年結果については,これまでに樹体中の植物ホルモンの影響や同化養分の競合など,様々な視点からその生理要因を解明していこうとする研究がなされている.しかしながら,それらを統合した研究や明解な説明は未だなされていない.隔年結果の生理メカニズムの統合的な理解を目的とし,この現象における花成関連遺伝子の役割について着目した.カキ(隔年結果しやすい)とブドウ(隔年結果しない)を材料に,果実の着果と花芽形成,花成関連遺伝子の発現,それぞれの関係について調査を進めている.まず,カキとブドウそれぞれで有核果実もしくは無核果実を着果させた結果枝処理区を作成した.それら結果枝および果実を用いて,花成関連遺伝子などの発現解析を実施する.のこれまでに年次反復を含むサンプルを調達してきている.また,花成関連遺伝子であるFTおよびTFL1相同遺伝子を単離し,それらのカキにおける発現様式について調査を行い,TFL1相同遺伝子は結果枝中の芽で特異的に強く発現していること,FTは芽ではなく花器官中の子房や花柄(果柄)で強く発現していることなどを明らかにしている.この結果を踏まえて,有核/無核果実を着果させた結果枝におけるそれら相同遺伝子の経時的発現量変化について解析を進めている.ブドウに関しては,一昨年度に引き続いてデラウェアを用いて解析サンプルを獲得するとともに,新たにシャインマスカットについても有核/無核果実を着果させた処理区を作成しサンプリングを実施した.現在,有核/無核による果実中の諸成分の違いを分析するとともに,花成関連遺伝子と翌年の花芽形成率などについて調査を進めている.それから,カキでは平成22年度の霜害および夏季の猛暑を原因に,平成23年度は成り年となったため,隔年結果の兆候を示す樹がいくつか成立している.今後,それら隔年結果樹を用いた実験を進める予定としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に提示した処理区の設定を実施し,それぞれの区から分析に十分なサンプルを年次反復も含めて獲得している.さらに,当初に時間を要すると想定していた隔年結果樹の養成についても順調に推移していると考える.大学教員として新たに任される学内外の業務が激増したため,遺伝子発現解析実験などで当初計画から若干遅延している部分もあるが,残りの研究期間でそれら部分に注力して研究を推進する計画である.
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Strategy for Future Research Activity |
関連する研究や他の類似研究の最新情報,新しい実験技術情報などを収集しつつ,それらを参考に実験計画の細かな修正を適宜行いながら研究を進める予定としている.研究用サンプルの入手および養成は順調に進んでおり,それらを活用した様々な解析実験を実施していく.
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Research Products
(1 results)