2012 Fiscal Year Annual Research Report
果樹における隔年結果現象のメカニズム解明-花成関連遺伝子解析からのアプローチ
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22780022
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
江角 智也 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (30548764)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 園芸学 / 果樹 / 遺伝子 / 生理学 / 花芽形成 / 果実着果 / カキ / ブドウ |
Research Abstract |
果樹の隔年結果については,これまでに樹体中の植物ホルモンの影響や同化養分の競合など,様々な視点からその生理要因を解明していこうとする研究がなされている.しかしながら,それらを統合した研究や明解な説明は未だなされていない.隔年結果の生理メカニズムの統合的な理解を目的とし,この現象における花成関連遺伝子の役割について着目した.カキ(隔年結果しやすい)とブドウ(隔年結果しない)を材料に,果実着果と花芽形成,花成関連遺伝子の発現,それぞれの関係について調査を進めている. まず,カキとブドウそれぞれで有核果実もしくは無核果実を着果させた結果枝処理区を作成した.それら結果枝および果実、またそれぞれに付随する器官を用いて,花成関連遺伝子の発現解析を進めている.花成を誘導するとされているフロリゲン遺伝子(FT)の発現について,カキやブドウでは葉や芽よりも果柄(花柄,穂軸)で強く発現していた.これと同様の発現パターンを他の果樹種(バラ科植物)などでも観察している.果樹植物における果実の発達と結果枝における芽(翌年の花芽)の発達の関係性を考えるうえで,果柄はその中継部分に相当するため,果実の支持体としてや養水分などの物質輸送(経路として)としての働きだけでなく,果実側および結果枝側それぞれに何かしらの生理的シグナルを発している器官なのかもしれないと推察している.当初計画により,果実から結果枝側へのシグナル物質として以前から考えられているジベレリンを果柄組織中において検出する試みに取り組んできているが,これについては成功に至っていないため,方針を修正し,果柄(花柄,穂軸)におけるFTなどの遺伝子発現の変化や様々な処理によるその違いが,結果枝側つまり花芽形成に与える影響について,より細かな処理区を再設定して調査を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初期待してたような明らかな違いを示すデータ,また,論議を構築するために必要なデータが現時点で十分とはいえず,早急にデータを増やすなどして,これまでの結果を再検証,確認していく必要があると考えている.また,本研究課題以外の学内外の業務の増加にともない,エフォートも当初計画から漸減しているため,最終年度に向けて計画の見直し,研究課題における突破口の明確化などに努めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
関連する研究や他の類似研究の最新情報,新しい実験技術情報などを収集しつつ,それらを参考に,最終年度はとりまとめのために不足しているデータを揃えていくよう研究を進める予定としている.反復実験,処理区の再設定など,これまでのデータの検証と確認も行うことで,とりまとめの議論を補強していく方策である.
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