2011 Fiscal Year Annual Research Report
老化葉における2つの異なるオートファジー経路を介した葉緑体分解の制御機構
Project/Area Number |
22780054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 宏幸 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (60312625)
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Keywords | 細胞死 / 老化 / 植物 / オートファジー / 葉緑体 |
Research Abstract |
本研究では、光合成機能と栄養素の体内リサイクル機構の両面から、植物の生長や環境応答性に深く関わる、植物特有のオルガネラ・葉緑体のオートファジーによる分解の制御機構について、モデル植物シロイヌナズナを材料に分子レベルで明らかにすることを目的とした。葉緑体オートファジーにはRCBを介した部分分解と葉緑体本体の分解の2つの様式があるが、ここでは特に葉緑体本体のオートファジーに焦点を絞り、液胞内腔に至るまでの輸送形態(膜動態)や輸送に必須な遺伝子群や制御機構について以下の2項目に絞り解析した。 (1)ライブセル蛍光イメージングによる葉緑体の液胞への移行様式の解析 葉緑体は液胞膜の陥入、すなわちミクロオートファジーの様式で液胞内部に取り込まれていることが、申請者らの予備的な観察結果から示唆されていた。この点について検証するため液胞膜とオートファゴソーム膜を同時に蛍光で可視化する形質転換体を用いて明らかにすることとした。具体的には、特に今年度はGFP-ATG8とRFP-γ-TIPを共発現する形質転換体の作出と選抜を進めたが、葉緑体の液胞への移行を明確にとらえるまでには至らなかった。 (2)葉緑体本体のオートファジーに必須な遺伝子群の特定 これまでに酵母とシロイヌナズナでのゲノム配列の比較から、マクロオートファジーに必須の遺伝子ATG群32種のうち、16種について植物ホモログ遺伝子AtATG群が同定されている。これらの遺伝子を欠損する変異体における葉緑体数の減少をモニターすることで、葉緑体オートファジーに必須なAtATG遺伝子群を特定することにした。解析の結果、これまでに明らかにされていたAtATG4に加え、AtATG2,5,7,10についても葉緑体オートファジーに関与していることが示唆された。
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