2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成田 新一郎 京都大学, ウイルス研究所, 特定助教 (30338751)
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Keywords | 細菌 / 蛋白質 / リポ蛋白質 / トランスポーター / 細胞表層 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌は細胞質膜(内膜)の外側にもう一つの膜構造(外膜)を有している。外膜を構成する因子はすべて細胞質または内膜上で合成され、専用の輸送装置の働きで外膜へと輸送される。外膜はグラム陰性細菌の生存戦略に極めて重要な器官であり、これらの輸送装置は生育に必須である。外膜構成因子の一つであるリポ蛋白質は細胞質で前駆体として合成され、Sec膜透過装置の作用で内膜を透過した後、内膜に存在する3つの酵素(Lgt、LspA、Lnt)の作用で成熟体となる。Lntはリポ蛋白質のアミノ末端システインのアミノ基にアシル鎖を付加する反応を触媒する。Lntは大腸菌の生育に必須であるが、主要外膜リポ蛋白質Lppを欠損する大腸菌変異株においてLolCDEを過剰発現したところ、lnt遺伝子を欠失する大腸菌(Δlnt株)を構築することができた。LppはC末端のLysを介してペプチドグリカンと共有結合しており、細胞表層の頑健性維持に貢献している。Lppの内膜への誤局在は、内膜とペプチドグリカンがLppを介して融合することにより、致死的に働くことが知られている。Lppとペプチドグリカンの共有結合の形成を触媒する酵素(L-D-transpeptidase)は3種存在し、それぞれybiS,erfK,ycfS遺伝子によってコードされている。ybiS,erfK,ycfS三重欠失株においてLolCDEを過剰発現したところ、Δlnt株を構築することができた。ウエスタンブロッティングの結果、この株におけるLppの量は野生株に匹敵し、Tricine-SDS-PAGEでの泳動度は増大していることがわかった。これらの結果から、Lntを不活化した際の主要な毒性は、誤局在したLppとペプチドグリカンの共有結合からもたらされることが示唆された。
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Research Products
(3 results)