2010 Fiscal Year Annual Research Report
好熱菌におけるロイシンシグナリングの分子機構・構造基盤の解析
Project/Area Number |
22780084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 武郎 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (50447364)
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Keywords | 好熱菌 / グルタミン酸脱水素酵素 / アロステリック調節 |
Research Abstract |
Thermus thermophilus由来グルタミン酸脱水素酵素(GDH)のGdhAおよびGdhBサブユニットからなるヘテロ複合体の調製法を確立し、結晶化に成功した。これまでに、我々が決定しているGdhAおよびGdhBのホモオリゴマー構造を用いた分子置換法により、2.6Å分解能のGdhA/GdhB/Leu複合体の立体構造を決定することに成功した。GDHは4つのGdhAサブユニットと2つのGdhBサブユニットからなるヘテロヘキサマー構造を有していた。ロイシンは、サブユニット境界面に存在する新規なアロステリックサイトに結合していた。GdhA内のアロステリックサイトを形成するアミノ酸残基を置換した変異体を複数作製し解析した結果、多くの変異体でロイシンによる活性化が大幅に減少したことから、この結合サイトがGDHのアロステリック調節において主要な役割を担っていることが明らかになった。このサイトを形成する主要なアミノ酸残基がヒト等の哺乳類由来GDHにおいて保存されていることが明らかになり、T.thermophilusとヒトで生物種としては異なるものの、類似のアロステリック調節機構が存在する可能性が示唆された。DNAマイクロアレイを用いてT.thermophilusのロイシンによる転写調節の網羅的解析を行った。その結果、T.thermophilusはロイシンの添加により、ロイシン生合成経路遺伝子の転写抑制および分解経路遺伝子の活性化の他に、解糖系やTCAサイクルなどのエネルギー生産系やリボソームタンパク質、ロイシン以外のアミノ酸の代謝などのような幅広いシステムの調節に関与することを示唆する予備的なデータを得た。
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Research Products
(5 results)