2011 Fiscal Year Annual Research Report
好熱菌におけるロイシンシグナリングの分子機構・構造基盤の解明
Project/Area Number |
22780084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 武郎 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (50447364)
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Keywords | 好熱菌 / グルタミン酸脱水素酵素 / アロステリック調節 / ロイシン / 遺伝子発現調節 |
Research Abstract |
最終年度前年度までに高度好熱菌Thermus themophilus由来のグルタミン酸脱水素酵素(GDH)がGdhAおよびGdhBからなるヘテロ複合体であること、さらにはその複合体がロイシンによ.りアロステリックな活性化を受けることを明らかにした。また、GdhA/GdhB/Leu複合体の結晶構造を2.6A解能で決定し、サブユニット境界面に存在する新規なアロステリック結合サイトを同定した。この結合サイトを形成する主要なアミノ酸残基がヒトなどの哨乳類由来GDHにおいて保存されていることを見出し、T themophilusとヒトとで、類似のアロステリック調節機構が存在する可能性が示唆された。この可能性を証明するために、まずロイシンにより顕著な活性化を受けるヒトGDH2の組換えタンパク質を発現させ、安定に調製することに成功した。推定のアロステリック結合サイトを形成するアミノ酸残基を置換した変異体を作製し、解析した結果、実際に活性化が消失したことがらヒトGDH2で同様のアロステリック結合サイトが存在することが示唆された。また、ロイシンに対する感受性や基礎活性などの性質が異なるヒトGDH1タイプへのアミノ酸残基の口換を導入し、解析した結果、ロイシン結合サイト周辺の変異によってそれらの性質が変換されることを示唆するデータが得られている。 前年度までにDNAマイクロアレイを用いてT.thermophilusのロイシンにより遺伝子発現調節を受ける遺伝子の網羅的解析を行った。その結果T.thermophilusはロイシンの添加により、ロイシン生合成経路遺伝子の転写抑制および分解遺伝子の活性化の他に、TCAサイクルなどのエネルギー生産系やリポソームタンパク質やロイシン以外のアミノ酸の代謝などの遺伝子の発現が変動することが示唆されていた。推定転写調節因子遺伝子のうちいくつかの遺伝子の破壊株を作製し、同様のマイクロアレイ解析を行った結果、LysRファミリー型転写調節因子TTC1871の破壊株において分岐鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼをコードするilvE遺伝子の変動が見られなくなった。TTC1871の組換えタンパク質を発現、精製し、EMSAによりilvE上流配列に結合することが明らかになった。このことからTTC1871がilvE遺伝子の発現を直接的に制御している可能性が示唆された。
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