2010 Fiscal Year Annual Research Report
台風撹乱に対する種特異的な応答を考慮した森林群集の遺伝資源の予測技術の開発
Project/Area Number |
22780136
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鳥丸 猛 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (10546427)
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Keywords | 遺伝的多様性 / 遺伝的構造 / マイクロサテライトマーカー / 稚樹 / 台風 / 自然撹乱 / 森林群集 / 森林生態 |
Research Abstract |
近年の急激な気候変動によって樹木個体群の死亡と加入過程の間の不均衡(非平衡状態)の程度は増大している。この現象により、これまで集団遺伝学が仮定してきた動的平衡にある個体群動態に基づく理論モデルでは樹木集団の保有する遺伝資源の程度を的確に予測できない可能性があり、今後の森林資源の保全のためには、自然現象の変動性を組み込んだより現実的な集団遺伝学モデルに基づく遺伝子動態の予測が課題となっている。本研究では、台風による撹乱を受けてきた冷温帯森林群集を対象に個体群統計学的調査と遺伝分析を行い、非平衡な個体群動態に基づく遺伝子動態モデルを開発し、台風撹乱体制が森林群集の遺伝的多様性に及ぼす影響を予測する。本年度は、既設の固定調査区(4ha)内に生育するハウチワカエデ、コミネカエデの成木(胸高直径が5cm以上の幹)から葉を採取し、CTAB法によるDNA抽出を実施した。さらに、種子を生産している成木から固定調査区の中央付近に分布しているものを選定し、個体あたり20~30個の種子を採取した。遺伝的多型解析では、カエデ属で既に開発されているマイクロサテライト部位を特異的に増幅する40個のプライマーを用いて、PCR条件を最適化してアガロースでシングルバンドの検出を行い、21個のプライマーまで選別した。その後、蛍光色素を付加したプライマーを用いてPCRを行い、キャピラリー電気泳動によって、シングルバンドが示す対立遺伝子が判読可能かどうかをチェックした。以上により、本研究において遺伝実験を実施するための基盤を整備した。
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