2011 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による木質材料の荷重状態の簡易非破壊評価手法の確立
Project/Area Number |
22780166
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤本 高明 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40446331)
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Keywords | 近赤外分光法 / 非破壊計測 / 多変量解析 / 応力推定 / セルロース / リグニン / 力学的性質 / 流動分光学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,種々の荷重(応力)状態下の木材における力学性状を近赤外分光法によって非破壊的に計測・評価する手法を確立することである。その際,いまだ不明な点の多い木材の力学的性質と化学的性質との相互関係について明らかにする。これらの成果は,住宅や土木構造物等における各部材の力学的性状(荷重状態予測など)を,簡易に検査・モニタリング可能な非破壊評価技術の開発に向けた基礎資料とする。 平成22年度は,木材の繊維方向および周囲方向(放射および接線方向)に対し圧縮および引張荷重を加えながら得られた近赤外スペクトルを解析することにより,荷重状態を精度よく推定できることが分かった。平成23年度は,粘弾性試験による荷重(応力)状態の評価について検討した。すなわち,一定荷重を与えた状態の木材から,近赤外拡散反射スペクトルを継時的に計測し,得られたスペクトルをもとにケモメトリクス解析を行い,長期荷重下における木材構成成分の状態変化を検討した。その結果,前年度の短期応答の場合と同様に,ひずみ変化量と近赤外スペクトルが連動して変動することが分かった。スペクトル変動解析から木材の構成成分の力学的な寄与について検討した結果,木材の方向や加力方向(圧縮または引張)によって各成分の寄与度が特徴的な相違を示すことが分かった。しかしながら,各木材構成成分の力学的寄与度が,加力に伴うスペクトル変化に明瞭に現れにくいという課題が残された。これは,多くの振動情報がオーバーラップする近赤外スペクトル特有の問題に起因すると考えられた。 以上の結果から,住宅や土木構造物等における各部材の力学的性状(荷重状態予測など)を,簡易に検査・モニタリング可能な非破壊評価技術の開発につながる基礎知見が得られた。
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