2012 Fiscal Year Annual Research Report
養殖魚の有害化学物質の残留・排出におけるMDRの役割
Project/Area Number |
22780174
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
二見 邦彦 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (00513459)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | MDR / PXR / 薬物代謝 / 肝臓 / エンドスルファン / 農薬 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
食品の安全性確保は世界的に重要性が増してきており,水産物においては,近隣の畑から養殖場への農薬の流入など,生産者の意図しない農薬汚染へのリスク管理が課題となってきた。これまでに,養殖魚ティラピアにおける農薬類の残留・排出のメカニズムを明らかにするために,薬物トランスポーターのひとつであるMDRの発現を解析した。その結果,有機塩素系農薬エンドスルファンの経口曝露により,肝臓のMDRタンパク質の発現が経時的に亢進されることを見出した。しかし,mRNAレベルでの発現亢進は顕著ではなく,残留エンドスルファンおよびその代謝物であるエンドスルファンスルフェートの体内濃度との相関も認められなかった。 本年度は,MDR以外の薬物代謝関連遺伝子にも着目し,それら発現変動との関係について解析した。なお,環境要因や個体差による影響を軽減するため,曝露試験にはティラピアの遊離肝細胞を用いた。その結果,MDR の他に,CYP1A,CYP1B,CYP3A,GSTθ1,UGTの5遺伝子の発現が50 ppmのエンドスルファン曝露により一過性に亢進することが明らかとなった。また,哺乳類との比較から,これらの遺伝子の発現はいずれも薬物受容体AhRまたはPXRに制御されていることが予想された。 一方,MDR遺伝子の転写制御機構を明らかにするためにはプロモーターを含む5'上流領域のクローニングが不可欠であるが,ティラピアMDR遺伝子のプロモーター領域は一部しか明らかとなっていない。そこで,inverse PCRによるMDR遺伝子の5'上流領域約5 kbのクローニングを行った。その結果,5'上流領域約5 kbの中にはPXRの認識配列であるER-6やDR-3は見当たらなかった。今後,さらに上流の領域のクローニングやPXR以外の薬物受容体による発現調節の可能性などについて解析する必要性が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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