2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780182
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉永 龍起 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (30406912)
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Keywords | シオミズツボワムシ / 種苗生産 / 酸化ストレス耐性 / 低温ストレス耐性 / チトクロームオキシダーゼI / ユグロン / 隠蔽種 / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
本課題「ツボワムシ属の隠蔽種が引き起こす増殖阻害の解明」は,海産魚の種苗生産における初期餌料として不可欠なツボワムシ属の増殖不良を解明することを目的としている.本年度は,以下に挙げる成果を得た.(1)種苗生産の現場で培養されている10株について,ミトコンドリアDNAのチトクロームオキシダーゼI遺伝子の部分塩基配列(およそ700塩基)を決定した.株間で配列を比較したところ,シオミズツボワムシBrachionus plicatilisおよびB.rotundiformisのいずれにおいても,同種内で第3座位に塩基置換が認められた.演繹されたアミノ酸配列も同様であった.形態的差異がほとんどない株間でも違いが認められたことから,本遺伝子座は隠蔽種の検出に有効と考えられた.続いて,(2)中規模培養系(10L)を立ち上げ,増殖パタンとストレス耐性(酸化および低温)の関係を調べた.実験区は2区を設け,一方は定量を給餌し(一定給餌区),もう一方は増加した個体数に応じて給餌量を調整した(可変給餌区).酸化ストレス耐性は,酸化剤であるユグロンを投与した.低温ストレス耐性は,予め氷中で冷やした海水にワムシを移し,経時的に生存個体数を観察した.その結果,一定給餌区における餌料の枯渇による増殖不良に先立って,2つのストレス耐性はいずれも低下することが分かった.すなわち,酸化および低温ストレス耐性は,いずれも増殖不良を予見するための指標として有用であった.
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