2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化とサケ科魚類:水温上昇に伴う生活史変化を介した個体群過程への影響
Project/Area Number |
22780187
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
森田 健太郎 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所・さけます資源部, 主任研究員 (30373468)
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Keywords | サケ科魚類 / 個体群過程 / 水温 / 温暖化 / 生活史 / 緯度的変化 |
Research Abstract |
温暖化がサクラマスの生活史および個体群過程に及ぼす影響を調べることを目的とし,分布南限に近い鳥取県を流れる陸上川のサクラマス個体群について個体群統計に関する調査を行った.昨年度までに得られている12個体群のデータと統合し,野外データに基づくサクラマス生活史モデルを構築することにより,温暖化が残留型化率へ及ぼす影響について予察的な数値シミュレーションを行った.その結果,雄については,水温が1℃上昇したり,生息密度が0.1尾/m^2低下したりすると,残留型化率が約10%上昇することが予測された.一方,雌については,夏季水温が15℃を超えると,低密度時に残留型化率が急激に増すと予測された.また,次年度以降に予定しているサクラマスの銀毛個体の標本採集を行う候補河川(12河川)を選定し,各河川に水温ロガーを設置した.その他,各地の4河川(山梨県・富士川支流寒沢,北斗市・戸切地川,木古内町・大釜谷川,羅臼町・居麻布川)においてサケ科魚類の個体群統計調査を付随して行い,個体群過程の流程変化・年変化と水温との関連性についてデータ収集を行った.また,沖合域における水温に依存したサケ属魚類の水平的・鉛直分布および河川内におけるサケ科魚類の生息密度の季節的・緯度的変化に関する論文の取り纏めおよび公表を行った(Morita et al.,2010 ; Morita and Nagasawa 2010 ; Morita 2011 ; Morita et al.in press).
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