2011 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化とサケ科魚類:水温上昇に伴う生活史変化を介した個体群過程への影響
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22780187
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
森田 健太郎 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所・さけます資源部・繁殖保全グループ, 主任研究員 (30373468)
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Keywords | サケ科魚類 / 個体群過程 / 水温 / 温暖化 / 生活史 / 緯度的変化 |
Research Abstract |
平成22年度に水温データロガーを設置したサクラマスが生息する北海道内の10河川において、サクラマスの降海時期である5~6月に水温データロガーの回収およびサクラマス・スモルトの標本採集を行った。合計418個体のサクラマス・スモルトが採集され、耳石による年齢査定を含む魚体測定を行った結果、野生サクラマスのスモルト年齢は1~3歳、スモルトサイズは97~163mm(8~45g)までの範囲であることが分かった。しかし、年平均水温が高い河川では、スモルト年齢が若齢化し、殆どすべて1歳でスモルト化するため、温暖化はスモルト年齢やスモルトサイズの多様性の低下に繋がることが示唆された。本年度はサクラマスの生活史モデルによる温暖化予測を行う.予定であったが、数値シミュレーションを行うのに必要なデータ数が不足していると考えられたため、シミュレーションモデルの構造を考案するにとどまった。その他、主に北海道の複数河川(富士川、戸切地川、大釜谷川、居麻布川)においてサケ科魚類の個体群統計調査を付随して行い、個体群過程の年変動と水温との関連性についてデータ収集を行った。また、北洋さけ・ます資源調査に乗船するとともに、昨年度までの乗船調査で得られたサケの鉛直水温分布に関する研究成果について論文公表した。また、温暖化がサケ属魚類におよぼす影響について、海洋生活期と河川生活期で水温変化が個体群過程に及ぼす影響の違いに着目してレビューを行い、North Pacific Anadromus Commissionの国際ワークショップで口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度までに計画していた野外調査はほぼ順調に進み、想定していたデータを得ることができた。数値シミュレーションに関する分析については、やや遅れてはいるが、平成24年度に得られるであろうデータを用いることにより、一定の成果が得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーションを行うのに必要な情報が不足していると考えられたため、平成24年度は特にサクラマスの再生産効率に関するデータの収集および近縁種のデータ収集を行い、平成24年度内には一定のシミュレーションに基づく予測が得られるように努める。
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Research Products
(5 results)