2010 Fiscal Year Annual Research Report
創薬へ向けた原虫トランスクリプトームの高解像度解析
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22780258
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山岸 潤也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教 (80535328)
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Keywords | 次世代シーケンサー / TSS-seq / 原虫 / トキソプラズマ / バイオインフォマティクス / トランスクリプトーム / 転写制御 |
Research Abstract |
本研究は次世代シーケンサーを用いたハイスループット・網羅的・高解像度な転写開始点解析方法であるTSS-seq法を、アピコンプレックス門原虫に初めて適応することで、その転写制御の分子機構を明らかにすることを試みるものである。予備実験として行ったトキソプラズマ原虫(RH株)のTSS-seq解析からは、当該原虫のコアプロモーターには動物や植物で認められるイニシエーター様のモチーフが存在することが示唆されている。 そこで初年度にあたる平成22年度では、RH株の転写開始点周辺配列、すなわちプロモーター配列をバイオインフォマティクスを応用して詳細に解析することにより、イニシエーター以外の制御モチーフの探索を行った。その結果、イニシエーターの直下にチミジン配列がクラスターを形成することを見出し、これをDownstream Thymidine Cluster(DTC)と呼称することにした。さらにDTCの存在と転写活性の関係を統計的に解析したところ、DTCが転写の活性化に関与する可能性が示唆された。一方、動物や植物で機能することが知られているTATA boxやTFIIB recognition element等のモチーフはトキソプラズマ原虫のプロモーターに存在しておらず、動物・植物と原虫の基本的な転写制御分子機構の間には多様性があることが予想された。加えて、トキソプラズマの5'UTR長を網羅的に解析した結果、その最頻値が120塩基から140塩基の間にあることが明らかとなった。この値は動物・植物とほぼ一致した。 以上を統合することで、トキソプラズマ原虫のコアプロモータ憎構造が推定され、動物・植物との類似点と相違点についての理解が進んだ。これは今後、当該原虫に対する薬剤ターゲットを選抜する際の手がかりとして重要な知見である。
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Research Products
(2 results)