2011 Fiscal Year Annual Research Report
創薬へ向けた原虫トランスクリプトームの高解像度解析
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22780258
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山岸 潤也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教 (80535328)
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Keywords | 次世代シーケンサー / TSS-seq / 原虫 / トキソプラズマ / バイオインフォマティクス / トランスクリプトーム / 転写制御 |
Research Abstract |
本研究は次世代シーケンサーを用いた網羅的・高解像度なトランスクリプトーム解析方法(TSS-seq・RNA-seq)をアピコンプレクス門原虫に適応することで、遺伝子発現のカタログ化と転写制御の分子機構を明らかにし、創薬ターゲットのスクリーニングに結び付けることを主眼としている。 2年目に当たる平成23年度では、研究計画当初に予定していたトキソプラズマ原虫のタキゾイト(Tz)とブラディゾイト(Bz)に、アメリカ農務省Dubey博士より供与を受けたスポロゾイト(Sz)を加えた計3形態間でのトランスクリプトームを、TSS-seq・RNA-seqを用いて取得した。 転写開始点に特化しプロモーター領域の特定が可能なTSS-seq法を用いた結果、Tz, Bz, Szのそれぞれで、811, 1044, 2136か所のプロモーター領域を特定するに至った。さらに、ステージ特異的なプロモーターを選抜し解析を行った結果、BzではCCAGTG、SzではTGTnnnnACAがステージ特異的な制御に関与するcis-elementであることが示唆された。 一方、遺伝子発現のカタログ化に有効なRNA-seq法を用いた結果、Tz, Bz, Szのそれぞれで特異的に発現する、96, 196, 548個の遺伝子を特定するに至った。この中には、それぞれ、1, 1, 2個のAP2転写制御因子が含まれていたことから、それらが同定されたcis-elementを介してステージ特異的な遺伝子発現を司っていることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同定されたcis-elementとAP2転写制御因子の相互作用と、その転写活性に及ぼす影響を解析する予定であったが、この点は未達であった。一方、当初計画にはなかったスポロゾイト検体の供与を受け、トランスクリプトーム解析を行ったことで、発現遺伝子のカタログ化と転写制御分子機構に関する仮説立案を、より高い信頼性で達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
同定されたcis-elementとAP2転写制御因子の相互作用を実験的に証明することで、それらの創薬ターゲットとしてのポテンシャルを計る。また、その際に必要となるトキソプラズマの形質転換系の確立を行う。 遺伝子発現カタログに基づき、トキソプラズマ原虫の生活環に大きく関与すると思われる代謝システムを特定し、創薬ターゲットとしてのポテンシャルを計る。
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Research Products
(1 results)